夏イベントは海、祭、肝試し ー82ー
「あっ! 逃げられちゃう……って、狙撃してた機体ってみかん機だったわけ」
八雲が撃ったミサイルは一斉射撃といえど、ボタンの押していく速さが一定ではなく、ズレが生じていく事で逃げる隙を与えた。その逃げる機体がみかん機だとは誰も思わなかっただろう。いや、みかんの席を奪う形になるのだとしたら、倒すべき敵だと用意されていたのも頷ける。
「そこで手を止めたら……美味しいところを持っていくのは流石だなぁ……っと、何!」
八雲がみかん機に目を奪われ、追撃する手を止めてしまった。ミサイルが再装填するのには時間が掛かり、弾数も残り少ない。だが、接近すれば近接武器であるブレードを投げる事も可能。
こちらが攻撃を仕掛けたと知られた時点で反撃される事は覚悟しなければならない。それでも、簡単に撃たせるわけにもいかない。
みかん機は明日香と八雲の試作機に照準を合わせるように銃を向ける。だが、狙撃手は場所を知られてはならず、もしくは守り手が必要。
そうでなければ死角から攻撃される。銀河はみかん機が明日香機に気を取られた事を見逃さず、背後にミサイルを撃ち込む。そして、みかん機の一体目を撃破した。
だが、撃破した直後。機体に影響はなかったが、女性の悲鳴が響き渡るのと共に振動波が展開された。




