夏イベントは海、祭、肝試し ー72ー
「おっ! 前に戻ってくれませんか」
夜野さんがフェイカーさんがいる場所を探す中、気になる映像があった。試作機専用の二人乗りの筐体が数台あって、それに誰かが入っていた。
「この映像ですか? フェイカーさんは一人だから、この筐体にはいないと思いますが」
確かにフェイカーさんは特別枠で、一緒に組むアイドルはいない。用意されてるわけじゃなく、俺は銀河の中にいる只野さんがパートナーだと思ってる。
「一応、戦闘してる映像を確認出来ますか? アイドル戦記の中継みたいが見れるみたいに」
「待ってください……大丈夫です。一つ一つ確認していきますか? アイドルの名前も分かりますよ」
筐体に入ってるアイドル達で対戦してるわけではないみたいで、それぞれの筐体の映像が確認出来るみたいだ。明日香ちゃんがいたのは第一次審査で、それが終わったアイドルが練習してるのかもしれない。
「そこまでアイドルに詳しいってわけでもないんで……あっ! 今から始める人達がいいです」
一組のアイドルが練習を終えたのか、部屋から出て行き、待っていたアイドル一組が練習するために筐体の中に入った。練習を終えたアイドルが無事なわけだから問題はないと思うんだけど、念には念をいれておくべきだろう。
「分かりました」
どの戦場でもなく、電脳世界が展開されてる状態。思ってた通り、俺と蒼さんが乗った試作機が登場した。それと同時に練習相手となる二機が現れた。最初は一対一、もしくは何十体も用意されてるかと思ったけど、二機というのは。機体が違う事から接近、遠距離とタイプが違うわけでもない。
そして、戦闘が開始する前に機械音声が流れる。その声を俺も聞く事が出来た。




