女子二人を相手にするのは許容範囲を越えてます ー2ー
「星野さんだ!」
商店街内を歩いてる中、俺の名前を叫ばれた。一体誰かと思えば、只野さんの妹であり、西園寺アスカというアイドルでもある明日香ちゃんだった。
明日香ちゃんが出てきたのはCDショップ。CD販売が決定して、昨日からの発売。商店街にある小さな店だけど、何枚売れたか気になったんだろう。
「どうも」
名前は呼ばれたけど、俺はどう対処していいか分からなかった。会うのは二回目だし、アイドルという事も知られたら駄目。まぁ、俺の名前を叫んで周囲に見られても、西園寺アスカだって誰も気付いてないわけだけど。
「聞いてくださいよ。あの店にCDが置いてなかったんです。売り切れなのかって思ったら、入荷もしてないって。あったら、星野さんに買ってもらうつもりだったけど」
明日香ちゃんは俺に近寄ってきて、普通に愚痴を言い始めた。この言い方だと単に欲しかったCDがなかっただけだと周囲は思うかもしれない。
「し、仕方ないんじゃないかな。そこまで大きな店じゃないわけだし」
「そうだけど……やっぱり有名じゃないと駄目なんだ。ダウンロード回数を増やす方がいいのかな」
俺はCDを買うなんて滅多にないし、携帯に曲をダウンロードをする事もなかったから、どう返していいか分からない。CD発売が決定しても、全部の店が置いてくれるわけじゃない事は分かった。現実は厳しいもんだ。
「あの……今から用事があって」
それにしても、明日香ちゃんはどういうわけか俺についてくる。カストルさんに会うのに明日香ちゃんを連れて行くわけにもいかない。
「それにしても天川織姫って子は得をしてますよね」
俺の言葉を無視して、明日香ちゃんは自分の話を進めていく。
「最初からレアな機体を持つファンがいて、アイドル戦記で一試合目や二試合目も注目されたわけだし」
「……そうなのかな? アイドルを俺やもう一人が喰ってる感じがするんだけど」
これは俺が思ってる事だ。安室さんは機体に注目してるわけで、天川織姫は一度も歌ってない。それに覆面を被ってる事もオールマイトは触れてないわけで、アイドルとして人気があるわけじゃないと思う。ファンを増やす事にしても、その項目が増えるような処置もないみたいだし。