夏イベントは海、祭、肝試し ー41ー
「それは僕が只野拓男だからだ」
「……はっ?」
俺が外に出るのではなく、フェイカーさんが車の中に入ってきながら、さりげなく爆弾発言をしてきた。フェイカーさんは女性だし、本人は病院に寝たままのはず。話し方とか似てる感じはあるんだけど、信じるかは別だ。
「簡単に説明すると銀河の体を借りてるというべきか、一つの体に二つの魂が入ってるのだよ。本当は自分の体に戻るつもりだったのだが、彼女と一緒を助けた事でね」
「只野さんは嘘を言ってない。私のせいで出来なかった事をするために、貴方達に合流したのだから」
フェイカーさんは同じ声なのに、二人がいるみたいに話し、それがイントネーションに若干ながら違いがあるのが分かる。
「えっと……助けたというのは、あの不思議な世界からって事ですよね。けど、フェイカーさんはアイドル戦記をするのは初めてだって」
あの世界はアイドル戦記や練習中でなければ入れないし、それも何かの条件が必要だと思う。
「……アイドル戦記の開発に関わってたんです。だから、私の歌に効果があったのが証拠です。あの時の記憶は曖昧で説明は難しいのですが」
確かにイベントで川本銀河の歌に能力があった事に説明がつく。それはアイドル戦記開発時から、あの世界はあったという事だ。
「なるほど……確かに理由になると思いますね。それで只野さんがやりたいというのは。夢椿さんを元の世界に戻してくれたのは只野さん何ですよね?」
只野さんは夢椿さんを連れて戻ると言ってたけど、アイドルイベントに参加するのはエンペラーを倒すためであり、只野さんを助けるため。やりたい事とは思えないんだけど。