夏イベントは海、祭、肝試し ー39ー
『あっ! そういう事なんだ。最初から相討ち覚悟だったんだね』
服部半蔵はトレイターを無視し、上空を見上げた。そこには広範囲攻撃のグレネードが落ちてくる。三機がホログラムと分かった時点で上空に打ち上げていた。それがばれないように盾も服部半蔵の攻撃への警戒に置いた。
消音状態の戦場では気付かれないはずだった。けど、時間帯が問題だった。英語の歌詞によってライトが点灯状態であり、地面には無数の影が映ってしまっていた。
『本当にただではやられないつもりだったんだ。期待はずれって言葉は訂正するよ。後一歩で倒されたかもしれないんだから』
「腕を切ったところで間に合わないよ。全てを避けきれるほど甘くない」
グレネードはさらに拡散し、無数の弾丸に変わる。威力は低くても、連続で受ければダメージは蓄積させる。まして、服部半蔵は一撃を与えればいいんだから。
『そうなの? けど、残念無念また来週ってやつなのかな? 脱する方法はあるんだよ』
トレイターの腕を切るとしても、服部半蔵のスピードをもってしても射程範囲から抜け出せない。トレイターの盾を奪うという手もあるけど、倒された時点で離れた場所に飛ばしておいた。他に脱出する手はないはず。
そのはずが、気付けば服部半蔵の腕を握っていたはずなのに違う機体に入れ替わっていた。それも撃破されている機体であり、ノービスや隼とは違う。二機だったとしても、移動は一回限りのはず。
『一緒にいたのが忍君とモブ蔵の二人だったけど、参加したメンバーを全員把握してないよね』
その言葉で脱出する方法が、撃破された仲間と位置を交換だと理解出来た。アヤメちゃん達は三人一緒で名前も並んでたから、仲間はそれだけだと思ってた。それ自体が間違いだった。それも作戦の一環だったのなら、どれだけ用意周到なんだろう。
完全に俺達の負けだった。




