夏イベントは海、祭、肝試し ー38ー
「やられた! 全部がホログラムなんて」
一撃攻撃した二機は無視して、周囲を警戒する。すると、一機のホログラムを目隠しにして、手裏剣が飛んできた。それも遊ばれてるかのように、隼が持っていた手裏剣と同様に直前で戻っていく。
その戻っていく手裏剣の先に服部半蔵がいる事になる。そんなのはアヤメちゃんも分かってるはずだし、三機のホログラムに騙された時点で負けフラグが立っている気がする。
手裏剣が戻っていく方向に盾を展開させ、念のためにグレネードを発射する。それはマシンガンで届かない距離にいるかもしれないからだ。照準を合わせられないんだから、当たるとは思ってないんだけど。
『残念。少しは驚かせてくれると思ったのに、期待はずれだったね』
アヤメちゃんの言葉の直後、トレイターに服部半蔵の刀が突き刺さった。最後の反撃もさせないように、マシンガンを持っていた武器も切り落とされた。
「な、なんで? 服部半蔵がそんなに速いって事なのか」
『駄目だよ。そう思ってる時点でアウトだね。一度攻撃した分身だからって、隙を見せすぎ。手裏剣とかヒントは用意してたのに』
服部半蔵から攻撃を受けたのは分身の一機目の方向。その後ろに控えていたという事だ。手裏剣も遠回りをして服部半蔵の元へ戻っていく。
ホログラムを壁にする事は手裏剣が飛んできた事で警戒出来るはずだし、今思えば他にも気付ける部分はあった。
分身のホログラムには影がなく、もう一度確認した時には影があった気がする。いつの間にか分身が、本物に入れ替わっていたという事だ。
「期待はずれでも……そう簡単には終われないんだよ」
トレイターに武器を発射する事が出来なくなっていたけど、最後の力を振り絞って、服部半蔵の腕を握る事が出来た。それが攻撃判定になるとは全然思ってない。殴るという行動も、動作で分かってしまうかもしれないし、それまでに撃破扱いになっていたかもしれない。
『えっ? 仲間でもない人に倒してもらうの。そんなつまらない考え方は嫌いかも』
服部半蔵は握っているトレイターの腕を刀で切り離そうとした。すでに撃破扱いになっているトレイターにはどうする事も出来ない。




