夏イベントは海、祭、肝試し ー32ー
「あっ……モブ蔵も一緒に倒したの。一気にじゃなくて、私の手でギタギタにしてやりたかったのに」
トレイターが倒した相手の中にはモブ蔵が乗っていたノービスも含まれていた。一矢報いる事もなく倒されたわけだ。
「合体が解かれる。すぐにフェイカーのエネルギーを貰わないと」
『ガンナー』で放つ事が出来るのは一発のみ。エネルギーの関係からしても、トレイターとリベリオンはすぐに分離してしまった。
「あっ! 最後まで歌ってくれても良かったのに」
フェイカーさんは最後まで歌う事なく、『ガンナー』モードが終了した事で止めてしまった。それと同時にライムの歌も再び聴こえ出し、遊園地全体に明かりが灯った。丁度英語の部分だったみたいだ。
その明かりによって、隼の姿が確認出来た。その場所はトレイターとリベリオンの間。分離した反動で前後に動いた事が避ける結果になった。
「隼! でも、何で索敵が反応しなかったわけ」
「索敵は自分の場所も示すから、丁度重なるようにすれば隠れる事も可能なのかも」
『ガンナー』の射程範囲の敵しか注意しておらず、その時に攻撃される可能性を見落としていた。
隼は一撃を外した事で追撃せず、視認出来る範囲で距離を取った。ライムの歌が日本語と英語が交互に変わる事で明かりも点滅状態になり、視認と索敵を同時に確認するのは難しい事を分かってるからだ。
「この!」
「ちょっと待って。ここは俺が受け持つから」
エネルギー量は前に比べると残ってる方だ。けど、それも時間の問題。隼はエネルギーの補給を阻止する行動を取るはず。ノービスが撃破された事で武器の受け取りはエネルギー補給が出来る事を知ってしまったわけだ。
フェイカー機からエネルギーを受け取るのも時間がない。どちらかが隼の相手をしなければ共倒れになってしまう。
速さで対抗するためにはリベリオンの方が良いんだけど、それはエネルギーがあった場合。武器に多様性があり、実弾系の武器が主なトレイターの方がましだ。
それに運が良いというべきか、服部半蔵は別行動を取っていて、残ってる敵機を次々と倒している。不意討ちや予想外の攻撃に注意しなくてもいい。出来るなら、この場で隼を撃破したい。