夏イベントは海、祭、肝試し ー28ー
「ふぅ……何とかなったけど、残りの二機も早めに仕留めないと駄目だよな」
一機を撃破した事で他の参加者達に居場所が知られ、近くにいた二機も反撃に来るに違いない。
「ゴメン! 少し手伝いに来て欲しいかな。飛行型が有利かと思ったけど、全くの逆だったみたい」
明日香ちゃんから通信が入り、追い詰められてるみたいだ。リベリオンの速度は相当な速さだと思ってたんだけど、相手がA級、S級となれば相応の対策は出来てしまうのかもしれない。
「どうにかしたいのは山々なんだけど、こっちも敵が側にいる状態なんだ。フェイカーさんに」
建物などの遮蔽物、障害物を考えると空中にいるフェイカーはトレイターよりも早く助けに行く事が出来るはず。けど、最後まで言う前にその考えは脆くも崩れ去ってしまった。
フェイカーが撃破されてしまったのだ。フェイカーさんにとってはまだ二戦目で、本格的な戦闘は今回が初。しかも、暗闇という状況の中で格上の相手ばかり。機体性能が良くても、操縦のレベルはそうもいかない。
倒した相手は隼。服部半蔵が最初に相手を倒した場所付近であり、服部半蔵と隼が協力したのか。フェイカーさんが助けを求める事もなかったのは、突然の出来事だったから。
「フェイカーもリベリオンと同じ弱点で倒されたのかも。敵を引き寄せる事になるけど、そっちに向かうからね」
リベリオンとフェイカーの弱点。それはリベリオンが接近してきた事で分かった。建物の炎上や撃破による爆発など消失されるのだけど、飛行型であるリベリオンのエンジン部の炎が消える事はなく、常に居場所を教える形になっていた。相手にとって的であり、反撃も難しい。
加えて、リベリオンが飛べる高さも制限があるみたいで、観覧車の最高到達地点まで。上空において射程範囲を外す事は出来ないという事だ。
「敵を引き寄せるって……もしかして、アレをやるの?」
敵を集めて一網打尽にする方法がある。コード『ガンナー』によるトレイターとリベリオンの合身。レーザー砲台となり、必殺の一撃を放つ。それは建物もろとも無に返す。




