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夏イベントは海、祭、肝試し ー24ー

「服部半蔵、地上戦のみ。索敵に映らず、敏捷度も最高ランク。忍具という独特な武器を使い、忍術らしく能力もある。ただ、その代償として装甲、防御力はなし。一撃でも受ければ破壊される」



明日香ちゃんじゃなく、フェイカーさんが服部半蔵の性能を説明してくれた。それも携帯で調べたわけじゃなく、何も見ずにだ。今のところ英雄機は二十しか存在しておらず、有名だから調べていたんだろうか。




服部半蔵を所有するアイドルが竹中かぐやだと分かれば、動画で動きとかを確認出来るんだろうけど、戦況全てをカメラが追ってるわけじゃなく、忍者という事もあってか映像に残ってるのはほんの僅か。それも敵機を撃破する瞬間のみ。



「動きが全然分からないし……何で英雄機を持つ子がこんな場所に来てるのよ。竹中かぐやはいろんな場所で引っ張りだこなんだから、そっちに行けばいいのに」



明日香ちゃんは英雄機の参戦で苛立っている。馬鹿にしてきたモブ蔵の仲間、名前の通りに下っ端の方なんだけど、負けたくはないんだろう。



「まぁまぁ……色んなアトラクションを回って、嫌な気持ちを忘れようよ。英雄機が相手でも戦ってみないと分からないし。一応……俺もアレクサンダーに勝った事になってるわけだから」



それもアレクサンダーが油断したからで、服部半蔵を操縦するアヤメちゃんがそうするとは限らないんだけど。



「そうだよね。こんな気持ちで戦うとミスばかりしそうだし。気分爽快になるために絶叫系を制覇しますか」



「絶叫系を制覇……」



こっちが提案したから、今更取り消すのも無理。絶叫系の制覇で気分爽快どころか滅入るし、ナイトパレード前に燃え付きそうな気がしてくる。



けど、それも思い通りにはいかなった。行くところに行くところで、アヤメちゃん達と鉢合わせになって、明日香ちゃんとモブ蔵が張り合うせいで、別の場所に行くという選択はなかった。結局はアヤメちゃんの提案通りに一緒に回るみたいな形になり、俺になついてきた。



アヤメちゃんはゴーカートという小さなレーシングカーを操縦するアトラクションに誘ってきた。レースをするんじゃなく、障害物とか何もない場所で自由に運転する。けど、車には三つのバルーンが付けられ、それを割られると退場する形だ。



明日香ちゃんとモブ蔵は前哨戦だと参加して、俺ともう一人の男性も参加。アヤメちゃんから言ってきたのに眺めてるだけで良いらしく、保護者としてフェイカーさんが残る形に。



上手く運転する事が出来なかったけど、結構楽しめた。相手が突撃してくるのを避けたり、相変わらず戦記にも似てる部分があると思った。



明日香ちゃんとモブ蔵の勝負は周囲を無視してたせいか、別の客にバルーンを割られて早々と退場になったのは気にしないでおこう。

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