夏イベントは海、祭、肝試し ー23ー
「それで……彼女達は何者なのだ?」
彼女達が去ってから、フェイカーさんは明日香ちゃんに尋ねた。
「二人は知らないけど、アイツは私のファンだった奴ね。掲示板は閉鎖したつもりだったけど、何度かコメントしてきてたの。復帰して欲しいとか……けど、今は違うアイドルのファンに乗り換えて、敵視してるわけ。お兄の悪口も言ってきたから」
「……なるほど。ここを選んだ本当の目的は彼と戦うため。まぁ、一石二鳥、三鳥かもしれないから別に構わないけど」
まぁ、ファンとして考えると突然の引退、加えてすぐに別のアイドルのファンとして参戦してるのは怒りを覚えても仕方ないと思う。
「アイツの操縦は全然だったから問題ないと思うんだけど、あの子は新人アイドル……ってわけじゃないのよね」
ライブ開催の看板に載ってるアイドルとは別人で、彼女の言葉からナイトパレードに参戦する感じがあった。けど、扱い的にアイドルみたいな感じもあったのは確か。
「それにアイツも誰のアイドルに乗り換えたんだろ?」
明日香ちゃんは参加者一覧にある名前と機体をもう一度確認した。
モブ蔵と呼ばれた相手は明日香ちゃんのファンだった時の機体でノービスのまま。名前の並びから考えると、殺と忍が二人の登録名みたいで、隼と服部半蔵と忍者型の機体。しかも、服部半蔵は英雄機の一つ。英雄アレクサンダーやドレイク、半蔵は一機ずつしか存在しない。
「半蔵って……英雄機じゃない! アイツ、竹中かぐやのファンになったんだ。それなら最初から行けばいいのにさ」
だから、その機体がいるだけで誰のファンなのか分かる。服部半蔵を所有するアイドルは竹中かぐや。楽しみというのは、あの女の子が服部半蔵を操縦してるんだろう。子供ながらに殺という言葉を選ぶのは怖いところだ。ちなみにアヤメと名前の響きは好きなんだけど。
「英雄機って、参戦とか戦闘において条件があるんだったよね。水中限定とか、一機だけで何十機分になるとか。明日香ちゃんは服部半蔵を出撃させるの条件が何か分かる?」




