夏イベントは海、祭、肝試し ー22ー
「受付には確認する事もあるし、私が書きに行くから」
俺が全員分も参加する事を書こうと思ったけど、明日香ちゃんが先に行ってしまった。受付で確認したい事なんて一体何があるんだろう。受付から紙の束を渡され、ペラペラと捲ってる。
「確認って、細かなルールとかなら口頭で説明してもらった方が楽なんじゃ」
けど、明日香ちゃんが見てたのは参加者一覧。本名で登録されるわけじゃないから、見せても問題ないんだろう。
「元アイドルは暇なようで。安い挑発に乗って、ここまで来てくれるとは有難い事だね」
男二人女の子一人の三人組が声を掛けてきた。それも男の一人は明日香ちゃんを馬鹿にしたような形で。
「誤字満載の挑発、アホそうな顔をしてると思ってたけど、予想通りね。アンタみたいなのが私に勝てるなんて大間違いなのよ」
明日香ちゃんもそれに負けじと言い争いを始めた。参加者一覧で探してたのはこの男みたいで、イベントに参加したのに関係してるみたいだ。
もう一人の男性は礼儀正しいのか、こちらにお辞儀をして、女の子の方は俺とフェイカーさんの方に無邪気にも寄ってきた。
「アレクサンダーとの戦いは見せてもらったん!それと……フェアレーターじゃないみたいだけど、知らない機体……凄く楽しみだな」
女の子は小学生ぐらい。参加者一覧に操縦する機体も書く事になっていて、フェイカーの機体を確認したみたいだ。そして、俺達に握手を求めてきた。
「あっ……どうも」
俺はそれに答えると元気よく振り回した。礼儀正しい男性は年齢からして、その女の子の父親みたいに見えるけど、もう一人は明日香ちゃんと同じぐらい。その男との関係が全く見えてこない。
「うん。全力で楽しもうね。イベントが始まるまで、一緒にアトラクションを回ろうよ」
女の子の方は人見知りなどせず、そればかりか、会ったばかりの俺達を誘ってきた。
「それは……他の二人が迷惑だと思うから」
明日香ちゃんと言い争ってる相手がいるんだから、そんな二人を連れて回るのは全然楽しくないと思う。
「そう……残念だなぁ。これもモブ蔵のせいなんだからね。今度はナイトパレードの時に会おうね」
男性が止める事なく納得してくれたみたいで、女の子は俺達から離れて行った。男性は従うようにうというべきか、見守るようにというべきか、後ろに付き従いながら歩く。明日香ちゃんと言い争ってた男は、二人がいなくなった事に気付くと、急いで追いかけて行った。その姿が見るからに雑魚キャラみたいな感じだ。




