夏イベントは海、祭、肝試し ー11ー
「心配しなくても大丈夫。昨日退院したばかりだが、さっきの動きを見たら問題ないと分かるはず」
「ははっ……確かにそうですね。自分の足で車に追い付こうとしたんですから。少し怖いぐらいで……ですから、只野さんも安心しても大丈夫かと」
「べ、別に途中で倒れられたら困るから……心配とかしてないんだからね。夜野さんも変な事を言わないで」
明日香ちゃんはツンデレみたいな態度を取ったせいか、顔を背けた。
普通は退院したばかりだから、フェイカーさんの体調とか心配した方が良いかもしれない。けど、あの走りは意識不明だったなんて思えないぐらいの動きだった。長い間眠っているのなら、リハビリとか必要だと思うんだけど、意識不明になったのも最近だったかもしれない。その原因を聞いた方が良いんだけど、そこまで踏み込むほど仲が良くなったわけじゃない。不治の病とか言われると、どう接すればいいか分からなくなるし。
川藤に着くまでの間、俺達とフェイカーは世間話をしながら時間を潰す事に成功した。それもフェイカーさんが色々聞いてきたりと積極的だったからだ。アイドル戦記の事は勿論として、眠っていた間に世間では何が起きたとかだ。この時に眠っていたのが只野さんと同じ時期だと教えてもらった。
「ふぅ……何とか間に合いましたね。アイドルのイベントはここまで凄いんですね」
ママポートに着いたのはイベント三十分前。本当はそれよりも早く着くはずが、渋滞に巻き込まれてしまった。それもママポートに行く車だ。
「違いますよ。大多数はファンというよりも、普通のお客。各地のカレーやアイスを食べに来ただけ」
夜野さんの言葉を明日香ちゃんが否定した。それはお客のほとんどが屋台に並んで行列が出来てるのに対して、その中間にあるイベント参加の受付には数えるくらいしかいない。
「受付は一緒なんだ。えっと……時間は同じだけど、互いに戦争するわけじゃないのか」
受付から東はカレーの屋台が並び、シートで隠された場所がある。西にはアイスの屋台が並び、こちらの舞台は隠されておらず、アイドル戦記用の二つの筐体が置かれている。
「何々……カリーの王子様の方は男性限定戦で、雪美大福は二人ペア戦……」
カリーの王子様側は男性限定戦とだけ書かれ、内容は秘密のまま。雪美大福の方は二人ペアで、カップルは自由でアイドルが別でもいいらしい。内容は巨大な氷を二機で彫刻して、作品を雪美大福を含めた審査員で評価するみたいだ。




