勝負は何が起きるか分かりません ー8ー
「カストルさんはどう思ってるんだろう。この前があれだったから、指示をしてもらえた方がいいんだけど」
天川織姫のファンサイトの掲示板を確認してみる。戦争が明日となると、すぐに連絡してくるはずだ。カストルさんからしたら、あんな負け方をもう一度したくないだろうし。
「今度はちゃんと書き込みをしてくれてる。なになに……明日のアイドル戦記に彦星は参戦しないわよね。拒否されてるよ!」
カストルさんは一人で戦った方がましだと思ってるんだろう。一回ミスしただけで酷い扱いだな。書き込みがあったのもほんの少し前で、何か書き込んだら返事があるかもしれない。
『それは酷いですよ。次は操縦をちゃんと勉強してるんで大丈夫かと思います。参戦しないと上手くならないんですから。そう言うのなら、練習相手になってください』
そうだろ。機体の操縦なんて勝手に上手くなるわけがない。カストルさんが練習相手になってくれないのなら、実戦で鍛えるしかない。
『確かに一理あるわね。それなら、今回の戦争時にオタ芸が出来たら練習に付き合ってあげる。有名なサンダースネイクって技からスサノオという技でどう?』
カストルさんの書き込みは何だか女っぽい。女性でもアイドルのファンになるのは何も問題ない。けど、男性が女性を装うというのもあるから、女と見るのはまだ早い。
『その二つを覚えて、披露すればいいんですね。カストルさんに合わせてみせますよ』
俺はそう掲示板に書き込んで、先ずはその二つのオタ芸を動画で確認する事にした。オールマイトが色々あるとか言っていたけど、スサノオの他にムラマサやアマテラス、不知火やロザリオとか技名が地味に凄いし、数も本当に沢山あった。
オタ芸の殆どがペンライトを使用するみたいで、そのためにはペンライトナイフを課金で手に入れるしかない。それに天川織姫の歌に合わせる動きじゃないと、カストルさんとも合わないはず。オタ芸披露時、仲間内でアイドルの歌を流すらしい。その事も只野さんの攻略本に書き記されていた。その役目も会員番号一番である俺の仕事だろう。
それにしてもオタ芸の動きを見ると、こんな複雑な動きを機体で出来たのなら、操縦も上達しそうだ。それも上半身のみで、下半身はそうでもなさそうだけど。