夏イベントは海、祭、肝試し ー3ー
「いや……行くつもりはないんだけどさ。全部参加するのでも一週間続けて休まないと駄目になるわけだし。そんなにバイトを休めるわけないよ」
所々の休みだったらまだしも、全部参加したら移動とかも考えて一週間は休まないと駄目。それに加えて明日香ちゃんの知り合いをいれると日数が増えてしまう。
「だって……アイツを誘うのも最近参加してなかったし、星野さんの家にも来ないじゃない」
明日香ちゃんが言うアイツとはカストルさんの事だ。天川織姫がB級に上がれなかったのも、途中からカストルさんが参加出来なくなったからだった。用事があって、一ヶ月間参加出来ないし、掲示板にコメントも残せないみたいだ。それに加えて、親父さんも参加率が悪かった事もある。
「それに元アイドルの私と旅行出来るんだよ。ファンだったらどれたけ喜ぶと思う?」
「明日香ちゃんと旅行……」
女の子と二人旅でも、恋愛関係とかそれに発展するなら嬉しいんだけど、それがまるで想像出来ない。こき使われて、疲れるだけというイメージだ。
「何でそんな嫌そうな顔なわけ……バイトも気にしてるようだけど、全然問題ないから」
「それは明日香ちゃんのシフトであって……俺はがっつりと入らないと」
シフトの提出は明日まで。そこで休む日を書けばいいんだけど、人がいない状態だとあまり自由にならない。
「店長から聞いてないみたいだね。店のカレンダーを見た方がいいよ。何て書いてある?」
「カレンダー……何だこれ?」
あまり変化のない日常なんで、カレンダーの確認なんか滅多にしない。カシオペアメンバーに誘われた日を見たのも家のカレンダーだったし。
それを確認してるみると二週間×印と改装という文字が書かれてる。それも都合良く、カシオペアメンバーに頼まれた日や明日香ちゃんに誘われてる日が含まれてる。
「そんな事しなくても問題ないと思うんだけど……改装だけなら、それを手伝わないと駄目でしょ」
「私達ではなく、業者に頼むみたいですよ。店長も突然の事で驚いてたようですし」
夜野さんは客が店内にいなくなった事で、明日香ちゃんの助け船を出すよう、俺の疑問に答えた。
店長が決めたわけじゃなく、ロンリーマート本部の決定みたいだ。それに改装の人員も出すみたいで、その間のスケジュールが白紙になってしまった。
「バイトに入らなくても良くなったんだし、問題ないでしょ。その分違うところで働かないと駄目なわけだし、丁度良いじゃない」
その間稼げなくなるのは辛いのは確かだ。
「それでも……移動手段がさ。電車賃も馬鹿にならないし……それを払うからというのはなしだからね」
明日香ちゃんに交通費を出してもらうのは年上として駄目な気がする。
「もう! 何でそこまで嫌がるかな。色んなイベントに参加して、エンペラーを倒すためにいろんな機体や武器を手に入れるべきだよね」
そんな押し問答みたいな感じになり、バイトが終わってもどちらか決まる事はなく、明日香ちゃんは渋々家に帰って行った。