コンサート第一幕 ー25ー
「それは影幻さんの攻撃で撃破した機体があるからじゃ」
「それを含めてですよ。それに……気になる点がいくつもあるんです」
現段階でこちら側の残ってる機体は俺を含めた六機。他の五機は勿論カシオペアメンバー。対する敵側はPモブだけ。竹中かぐやの予想に反して、こちらが優勢の状態だ。
「私もそう……みかんの言いたい事が分かる。遠距離武器系統の私達の機体だから分かった事だから。ファン達の機体の全てが撃破された時点で、敵側の機体が動きを止めて、無防備な状態で広範囲の攻撃で撃破した形。まるで、邪魔者のファン達を倒すためだけに出てきたみたいに。だって、あの集団から抜け出して、こっちに攻撃を仕掛ける事も出来たはずなのに、一機たりともそれをしなかった」
確かに誰もカシオペア達に攻撃を仕掛けてこなかった。接近しなくても、遠距離攻撃も出来たはずなのに。
「そんな話は後でいいじゃない。あの機体を倒せば、私達の勝利……」
蒼さんは会話を遮り、一機だけになった事で攻めようと前に出ようとしたが、一歩から二歩目の足が止まった。
「あの機体……索敵に表示されてない。敵じゃなくて、イレギュラーな存在なわけ」
蒼さんが動きを止めたのはPモブが索敵にかからない事。それは影幻さんやみかんちゃんも気付いていたみたいだ。ロックオンするのにも望遠レンズでの確認の他に、索敵機能を使う事もあるからだ。広範囲攻撃ではそれが必要不可欠になる。
「ちょっと待って。あの機体が関係ないのなら、敵は全員倒した事になるわよね。なのに勝利が決定されないのはどういう事?」
夢椿さんの歌が終わり、会話に参加してくる。この会話中にもPモブは何も行動を起こさない。
「あの機体を除いても、相手側は二機足りてないんです。二十対十八の状態だったんですよ」
みかんちゃんの言葉に嫌な予感がしてきた。影幻さんの言葉にもあった。俺達以外の邪魔者を排除するためだけに敵機が出てきて、その役目を終えたから撃破された。それなら、この後に残りの二機が出てくる可能性がある。それがエンペラーとなれば最悪だ。