コンサート第一幕 ー21ー
竹中かぐやも『電脳世界』を知ってる。ライブ自体初めてで、これが普通なのか分からない。けど、彼女は異常な事が起きると感じだ。それがアイドル戦記にすら影響するとも。夢か現実かは分からないけど、練習時に聴こえてきた声でさえも関係してるかもと思ってしまう。
そして、ポルックスさんの歌が終わると少しの静寂から大歓声へと変換される。その歓声にスタッフ達もハッとして動き出す。『電脳世界』にスタッフ達も魅了されたみたいだった。
その効果がなかったのは俺とカシオペアのメンバーだけ。それは自身が歌姫だからなのか、事前に聴いた事があって耐性でもついていたのか。
「星野さんアイドル戦記の参加者の抽選が始まりました。一応、カシオペアのメンバー達は歌う事も可能です。そのファンなら効果を得られます。この筐体なら誰のファンが何人か確認出来ると思うので、それも利用してください」
カシオペアのマネージャーはそろそろアイドル戦記が始まる事を伝えにきた。機体にマイクが付いていたから予想は出来たけど、そんなのは最初から教えて欲しいぐらいだ。
用意されてるのはアイドルに付き一曲。それぞれ選んだ曲と効果が分かる説明書みたいなものを渡された。ポルックスさんはそこでは『電脳世界』を選んでなかった。
「あれ? アイドル戦記なら、守るアイドルがいるわけですよね。敵側はジェミニさんで、カシオペア側はアニメのカストル。カストルの歌はないんですか?」
説明書の中にカストルの歌と効果が書かれてなかった。カシオペアのメンバーで五曲歌えるのは有利とは言えない。相手側は全員効果を得られるわけだし、何曲も用意してるはず。勝つ手段だけでなく、カシオペアメンバーが生き残れるように準備さていてもおかしくないはず。なんせ、カストルを演じるのもアイドルなわけなんだし。
「あっ……そうですよね。何故かその情報はないんです。それと星野さんが戦場に降り立つのは最後という形にしたいので、全員が出撃した後にお願いします」
一応俺が乗るのは主人公機だけど、このライブの主役はカシオペアなんだから、最後に登場するのは彼女達の方が良いと思うんだけど、言われたら仕方がない。
抽選で選ばれた人達がログインしていくのが、こっちの筐体からでも分かる。蒼さんのファンが出撃完了すると、最後に蒼さんが出る。他も同じ感じで進んでいく。選ばれたメンバーは蒼さんと夢椿さんが四人、みかんちゃんと影幻さんが三人。ポルックスさんのファンは誰も選ばれてなく、一人で出撃という形に。




