コンサート第一幕 ー11ー
そして、それは項を奏して蒼機とポルックス機は横転した。それも夢椿さんが俺の案に一つ付け加えた事もある。盾は前に出すという案を、二機に応じて違って出したわけだ。
ポルックス機の場合はこっちの攻撃を見るため、前方は相手も注意している。これは盾の発射を隠すためでもあるわけなんだけど、ポルックス機の回避は横移動が主。だから、横側に盾を向けた。
蒼機の場合は大剣で防ぎながらの直進。それはずっと大剣を前に出してるわけで、視界が狭まってる事になる。そうなると足元に気を付ける余裕が無くなる。そこを狙って、躓かせるようは形で横向けに発射したわけだ。
その時点で勝負は決まってしまった。無防備になった二機を撃破すると、残りは遠距離タイプのみ。姿を隠す場所もなく、こっちには夢椿さんの盾がある。そうなった時の作戦なんて考えてもないだろう。
「ギブアップ。こちらの負けですね。まるでフェアレーターとトレイターのコンビみたいでしたよ」
二機が撃破される前に、ポルックスさんは負けを認めた。それは通信じゃなくて、機体に備わってるマイクから。主人公機にはないけど、カシオペアはこの場でも歌う事になってるんだろう。
「あの……もう一度お願いしていいですか? 私と影幻さんは何も出来てないわけで……二人に一撃も与えてないし」
みかんちゃんは負けず嫌いで、自分に厳しいんだろう。何も出来なかった事が嫌で、再戦を申し込んできた。こういうところがアイドルなのかもしれない。
「今の状態で再戦しても結果は同じだと思うけど? あれが彦星さんの指示によるものなら、作戦というか、連携が重要になるわけだし」
影幻さんは今の状態を把握してるみたいだった。夢椿さんみたいに頭の回転が早いのかもしれない。
「なら、メンバーの交換よ。設定を切り替える事は出来るのよね。今度は私を上手く使ってみなさい」
蒼さんの言葉は、俺達にもそうだけど、外側のマネージャーに言ったのかもしれない。それは設定がこの場で俺達が変えれる事が出来ないからだ。
「分かったわ。蒼もやる気になってくれたわけだし、全員が回るまでやりましょうか」
夢椿さんも蒼さんの案に賛成して、ポルックスさん達も了承した。ただ、マイクがない俺は何も言う事が出来なかったし、反対だと夢椿さんに伝える前に途切れてしまった。
さっきは作戦が上手くいったし、他の機体になると難しい。夢椿さんが機体の特徴を把握したわけで、さっきの味方が強敵になってしまったわけだ。しかも、俺と組めば勝つ事が出来る雰囲気みたいなのが生まれてる気がする。




