コンサート第一幕 ー9ー
戦場はどういうわけか、あのレーザーの檻のような場所が選ばれていた。だからといって、前みたいな機体は存在せず、ポルックスさん達の機体だけが登場している。ここは特別な空間ではなく、隠しステージなのかもしれない。
「ふぅ……ビックリしたせいで、集中が少し切れたかも」
静かな空間の中で耳鳴りというのか、虫が近くを飛んでるというべきか、変な音が耳から離れない。それは現実でスタッフ達の動きが勝手に入ってきてるのかもしれない。
「最初からそんな事を言わないでください。練習時と同じなので、戦闘開始の合図はありません。着地と同時に始まりと思ってください」
戦場に入ると、筐体は別の場所にありながら、隣には夢椿機が存在している。ポルックスさん達の機体はアイドル戦記と同様な位置で着地しようとしていた。
「すみません……いつも乗ってる機体と夢椿さんの機体が似てるから。俺の乗る機体はフェアレーターに似てるし、少し違和感があったんで。夢椿さんに声を掛けられたから、もう大丈夫です」
俺の集中力が切れそうになった理由は違うんだけど、あの世界を信じてもらえるか怪しい。それならトレイターに似た機体と言えば納得すると思ったからだ。
「そういえば、確かに似ていますね。操縦席はどうなんですか? これしか見た事がないので」
「少しの違うがあるぐらいですかね。他の機体を見た事がないので、あんまり変わらないかもしれないです」
「それなら操縦は問題ありませんね。性能の違いもあるかもしれませんので、注意してください」
移動速度もそうだけど、腕の振りとかでも影響を及ぼす。武器の使用とかでまだ下向きの状態で発射するとか。誤爆経験者の俺にとっては気を付けないと駄目なところだ。
「そこは大丈夫です。武器の射程もある程度表示されてるし、問題ないかと」
主人公機と夢椿機、ポルックスさん達の機体もほぼ同時に着陸した。そこで俺と夢椿さんの取った行動は待ちだった。なんせ、蒼機がこちらに向かって攻めてきたからだ。
「これって……夢椿さんは作戦だと思いますか?」
蒼機の行動に、ポルックス機は何も動かない。戸惑ってる感じが見て取れる。蒼機の装備は大剣で、装甲も硬くはある。けど、その分運動性も低くなるから的になってしまう。撹乱させるなら、双剣持ちで、運動性の高いポルックス機のはずなんだ。




