コンサート第一幕 ー7ー
「……すみません。本当はポルックスと組みたかったかもしれないのに」
夢椿さんはポルックスさん達がいる部屋から離れると、いきなり謝ってきた。
「いや……あの……何も問題ないですよ。夢椿さんが一緒にと言ってくれたのは嬉しかったですし」
「そう言ってもらえると助かります。あの子達の前では言えないんですけど、私はこれに賭けてるんです。私の年齢だと彼女達と違って、チャンスは少ないと思ってるんです。私も出来るならS級に上がりたい。だから……協力をお願いします」
夢椿さんとしてはメインヒロイン役でなくとも、カシオペアというグループはステップアップとしては重要みたいだけど、俺としてはあまり聞きたくはなかった。その想いが本当に重い。
「ぜ、善処します。ま、まずはポルックスさん達を倒さないと駄目なんですよね。自分としてはちゃんとした指揮が出来るか分からないんですけど」
「大丈夫ですよ。これでもB級なので、少しは戦闘の知識もあります。役柄もそういうキャラなので勉強もしましたから。一応、彼女達が操縦する機体の特性を言っておきます」
ポルックスさんと蒼さんはアタッカーというタイプらしく、接近戦重視。武器は双剣と大剣。カシオペア内でのライバル同士、同じ配置になってるみたいだ。
みかんちゃんと影幻さんはスナイパー。遠距離攻撃重視。みかんちゃんはスナイパーライフルをメインとして扱う。影幻さんはミサイル系で広範囲攻撃。トレイターに似ているのはこの二機だと思うんだけど、主人公機はまた別だ。
主人公機は中距離。マシンガンなどの銃器を扱う。近距離と遠距離の間という事で、指示を出せると思ってるのかもしれない。
そして、夢椿さんが扱う機体も中距離というべきか。武器は一切使えない、防御重視の機体。盾を遠隔操作で操り、自分だけでなく他者を守る事が可能となっている。その盾の速さなどを確認するためには、実戦で試してみるしかないわけだ。