コード『ガンナー』起動 ー10ー
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「……あれ……ここは一体何処なんだ?」
戦闘が終了して、無事に現実に戻ってきたのは良いんだけど、俺がいたのはゲームセンターじゃなくて見知らぬ部屋。しかも、ベッドの上で寝てたみたいだ。
「やっとお目覚めか。ここは病院だ。ゲーセンから運ばれて、お前は丸二日寝てたわけだ」
「えっ? カストルさん。運ばれたって……明日香ちゃんや他の人達は」
声を掛けてきたのはカストルさんだった。俺がいるのは病院らしく、あの世界に行った事が原因で一時的に深い眠りに入っていたのかもしれない。
周囲を確認してみると、病室にいるのは俺一人だけのようで、明日香ちゃんの姿だけでなく、参加者の一人もいない。
「私があの場所に来た時にはアンタ達しかいなかったけど? それとアスカの方は昨日のうちに目覚めて、親と一緒に帰ったわ。只野もあんな目に遭ってるから、アイドル戦記は禁止させるとか言われてたようだけどね。まぁ……何とかするでしょ」
俺だけじゃなく、明日香ちゃんも無事だったみたいだ。親と一緒に帰る姿をカストルさんも確認したみたいだし。けど、問題なのは他の人達。謎の世界で意識を失っていく参加者達を見た。それなのにカストルさんが来た時には姿を消していた。それは自分の足で帰れたのか。それとも別の場所に運ばれたのかもしれない。
「それで……一体何があったわけ? 店員も原因が分かってないようだったし、アイドル戦記の運営も何の発表もしてない。医者は睡眠不足とか言ってたらしいから」
「えっと……信じてもらえるか分からないんだけど」
俺はあの世界の出来事を説明した。撃破された相手が意識を失う事。トレイターとフェアレーターに似た機体。エンペラーの出現や天川織姫の歌声が届いた事など。体験しないと、夢でも見てたと思われてしまうかもしれない。現に丸二日寝てしまってたわけだし。証拠になるのも何一つとしてない。
「……なるほど。誰かに言っても夢だと思われるわね。他のメンバーがいたとしても、ゲーセンにある監視カメラの映像も消されてるはず。それでも、一応は信じてあげるわよ。それと……後の話は退院してからで」
俺が目を覚ました事で、看護師が側にやってきた。体調の確認とかするためで、邪魔をしないためにカストルさんは病院をあとにした。




