コード『ガンナー』起動 ー7ー
「あれ? 入力したけど何も……タイミングが違う……」
通信から何も変化が起きないようで、こっちから見てもリベリオンが飛行機のままで、色が変わったりもしてないし、スピードが上がった様子もない。
「あっ! ちょっと待って……そんなのありなの? リミッター解除って、そういう事。今更で嫌なんだけど」
明日香ちゃんの操縦席にリミッター解除の装置でも出てきたんだろう。それが普通のスイッチじゃない事はすぐに分かった。
リベリオンの性能、スピードが格段に上がったのが分かった。それだけでなく、歌声が響き渡る。それは西園寺アスカの歌であり、リベリオンの操縦席に出てきたのはマイク。リミッター解除とは歌声で自身を強化する。アイドルだからこそ出来る芸当だ。アイドルを辞めても、ゲーム内で消される事はなかったんだろう。
「明日香ちゃん、そこからコード『ガンナー』に移行するしかない」
明日香ちゃんの歌声と共にリベリオンの性能がアップした事を白トレイターは確認した。それを脅威と判断し、リベリオンを落とす事を決めたようだが、あまりの速さに掠りもさせない。けど、リベリオンにも問題があった。歌でリミッター解除しているのなら、その終わりと共に消えてしまう。更に操縦席にマイクが出てきた時、それ以外にも変化があった。リベリオンの固定武器のレーザー砲が収納され、代わりに歌を響かせるためのスピーカーになっていた。つまり、リベリオンには攻撃手段がないわけだ。
「何か返事を……って、歌ってるから無理か。リミッター解除してからじゃないと出来ないものだと……」
俺は白トレイターを攻撃する事も忘れてたんだけど、こっちの操縦席にも変化が起きた。小さなモニターに『ガンナーモード』と文字が入り、了承を求めてきた。けど、それを押してもエラーが発生した。リベリオンだけでなく、トレイターにも同じ歌の能力が必要らしい。
「歌の能力って……明日香ちゃんはリベリオンの性能を上げる歌なわけで……俺には何の効果もないんだから」
ぶっつけ本番は無理があった。そう思ってたら、予想外の出来事が起きた。明日香ちゃんの歌声は響いてるんだけど、途中から別の声が重なってきた。誰かが同じ歌を歌っている。しかも、その歌声は忘れもしない。この世界で、この場にいないのに天川織姫が明日香ちゃんとデュエットした形になっている。




