勝負は何が起きるか分かりません ー2ー
『戦闘開始です。十倍の機体差により有佐アリサは三分後に出撃となります。 勝利条件 機体全滅 制限時間三十分 過ぎた場合は生存率が高い方が勝者とする』
戦艦からの出撃ではなく、最初から草原に立っていた。宇宙ではピンと来なかったけど、風景はゲームの世界みたいじゃなく、現実世界を再現している事に驚きだ。隣にはフェアレーターがいて、後方に天川織姫が搭乗している戦艦が待機している。
「凄いな。ここまでゲームの世界が現実に似るなんて。とりあえずラーメンが作れる時間で何をするかだな」
まずはどうやって前に進むのか。ペダルを漕ぐように足を動かしてみると、それに連動して前に進んでくれた。カストルが乗るフェアレーターも同じように前に動いた。
次はどうやって武器を使用するのか? トレイターの武器はグレネード。それも一種類だけじゃなく、色んな用途があるみたいに名前が違っている。アリサ二乗が出撃まで一分を切り、出撃予定場所が五キロ先だと確認出来る。
相手が出撃する直前に遠距離攻撃をしてみるのはどうだろう。先に出撃するというハンデは、こういうのが許されるからに違いない。
「よし! 一発ずつ発射してみるぞ。このボタンを押していけばいいんだよな」
攻撃スイッチぽい赤いボタンが上から下へと並んでいる。そこには数字が書かれてるし、武器にも番号が振られてるから間違いない。けど、横にもボタンがあるのが少し疑問がある。とりあえず、それも確認しておくべきだな。
「まずは一つ目をポチッとな」
一つの目は照準を合わせる画面が出てこなかった。それはまだ相手が出撃してないからなのか。とりあえず肩の部分から発射準備が聞こえてくる。最初のボタンは準備で、隣のボタンで発射するのかもしれないと押してみる事にした。
すると、画面が赤い光に包まれてしまい、その直後、LOSEという言葉が表示された。敵が出撃する前に負けが決まってしまった。
「何が起きたんだ? もしかして、フェアレーターが俺を攻撃したとか」
決着のリプレイが再生される。それは俺も視聴者の目線で確認出来るみたいだ。そこで起きた衝撃的な映像。グレーネードが肩から発射された直後、すぐに爆発してしまったのだ。あまりに近すぎたので他のと連動して爆発が大きくなり、側にいたフェアレーターも大破させてしまった。
つまり、俺の初戦は天川織姫が歌う事もなく、有佐アリサが出撃する事もなく、味方を巻き込んで、自爆したという形で終わってしまったわけだ。