只野救出作戦 ー14ー
「何やってんの! 遊ばれてるじゃない。英雄だからって無敵じゃないんだから。舐めてるうちに倒してやるのよ」
アレクサンダーの声援ばかりの中、明日香ちゃんは周囲の視線を無視して、俺の応援をしてくれてる。その声に一矢報いたいと思うけど、何も思い浮かんでこない。しかも、距離的にも半分は既に切ってる。
「ぐはっ!」
大砲の弾は尽きる事なく発射され、爆風が連続で起きる。それが瓦礫なども纏ってるから、不意にダメージを与えてくる。その反動は装着してる部分が振動するから、機体に当たってる事が実感出来る。こういう時には嫌な機能だ。
そして、同じ攻撃の繰り返しに飽きさせないためか、アレクサンダーは大砲の攻撃を一時的に止め、腕を振り回した。その攻撃がトレイターにぶつかり、その衝撃が頭にやってきたわけだ。
「結果は明らかだ。ギブアップするのを許してやっても構わないぞ。今話題の機体の一体が為すすべなく負ける。本当はフェアレーターが相手の方が良かったがな」
大砲の攻撃を再開。けど、全箇所の大砲を使ってない。観客達からは倒せコールがあり、それに応じるのもありと考えてもおかしくないのに。
「何か違和感が……ギブアップさせるためなのか……あれ?」
トレイターは損傷して、万全のスピードが出せない。全て使用されてないから、何とか避ける事が出来ているぐらいだ。
それに大砲の発射も遊んでいるのか、ランダムになってる。そう思ってたんだけど、違う気がしてきた。
アレクサンダーは何度か大砲を撃った後、上半身を軽く動かす。別にどうって事ない行動なんだけど、その行動でアレクサンダーから瓦礫が飛び出してきた。
それを気にしてみると、大砲に瓦礫が入った時、そこから攻撃するのを避けている。武器も巨大である事から中に入り込んでしまうんだろう。
そうなると考える事は一つ。こっちの攻撃が通じないのなら、相手の攻撃を利用する。それが相手も分かってるから、無意識に避ける行動をしまってるわけだ。