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天上天下最高の彼氏
「ただいまー」
私、女子大二年の長谷川桃花は、ワンルームの部屋に『彼』を飼っている。彼は、見た目がよくて、細かいことにもよく気がつく。家事もできる、万能な完璧男子。いつも笑顔でおとなしく、部屋で私の帰りを待ってくれている。
「おかえり、桃花ちゃん。今日はポトフを作ったんだ。すぐに食べる? それともおふろにする?」
「おなか空いているし、先にごはんかな」
「じゃ、仕上げするね。もう少し待っていて。手洗いうがいを済ませたら座って」
「ありがとう」
彼といると、とてもラクだ。気を張らなくて済む。これだけ容姿がすぐれていると、誘惑の声が多そうで不安になりそうなものだが、彼は部屋の外に一歩も出られない極度の引きこもりで、私のことしか眼中にない。
だって。
彼……斯波リョウは、この部屋に憑いている地縛霊。決して離れることができない、部屋の主なのだ。