008 聞かれたら悩む質問の答え
朝、荷物と一緒に運ばれる。
昼、引きずられながら歩く。
夜、殻を割って食べる。
そんなことを繰り返すこと七日。
「目的地に着いたぞ」
森の中にぽつんと一軒家が立っていた。
「会いに来たよ、ジェファ!」
「会いたかったわ、ラソロケニージノリ。愛しいあなた!」
ラソロが叫ぶと、それに答える様に中からすごい美少女が現れた。
(グウスと違って胸がある。とはいっても巨乳とまではいかないが)
ラソロと家の中から出てきた美少女が抱きしめあっている。
「あら?ところでその子は誰かしら?」
エルフの存在に気が付いた彼女は、しゃがみ込んで子供の視線の高さを合わせてくれた。
「ボク?お名前は?」
「エルフです」
「おお、ちゃんと言えるのね。えらい、えらい」
(美少女に頭をなでてもらったぜ!)
「グウスさんとオードさんの子供だよ。鍛えてほしいと頼まれたんだ」
ラソロがジェファに説明する。
「鍛えるって、まだまだ子供でしょ?ずいぶんと早過ぎるのではなくて?」
ジェファはエルフを心配そうに見た。
「こんなに汚れて、お腹もすいているみたいね。まずはお風呂からかしら。こっちにいらっしゃい」
「ジェファ、あまり甘やかしてはだめだ。手紙にもそう書いてあったんだ」
とにかくエルフは家の中へ入れてもらい、風呂に入ることになった。
「はー、極楽極楽」
風呂は五右衛門風呂だが、自分の魔法で火を起こして温度調節する仕組みになっていた。魔法が得意な森の民仕様である。
(美少女のお姉さんと一緒にお風呂に入りたかったなぁ)
などと考えていると、ラソロの声がした。
「おい、おまえ女なのか?」
(体は女、頭脳は男その名は幼児エルフ、だから女だと答えるべきなんだろう)
「はい」
エルフが自信無さ気な弱い声で答えると、風呂場の扉がガラッと開いた。
一瞬、ラソロが入ってきたのではないかと思い、繰り返し見た悪夢がよみがえった。
しかし、入ってきたのはジェファだった。
「ちょっとごめんなさいね」
もちろん、服は着たままである。
服の袖をまくりあげ、湯船につかっていたエルフをやさしく持ち上げて、犬猫のように確認した。
(いやん。なんちゃって)
ジェファは、やさしく下ろすと、あとでお話があるから、ゆっくり温まってから来てネと言って浴場から出て行ってしまった。
(なんぞ?)