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転生クリエイション 〜転生した少年は思うままに生きる〜  作者: 諸葛ナイト
第一章 第四節 シリアルキラー

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無関係な出来事

 昼間のおつかい、夜の護衛共にこれといって苦戦することもなく終えたライトたちは、報酬を受け取るとその足で銭湯に来ていた。


 もしかしたらシリアルキラーが現れるかもしれない、と警戒していたが、それは徒労に終わった。

 今はただ仕事終わりの風呂を楽しんでいる。


 西副都では冒険者には解放されていなかったが、ここでは砂漠が広がっており、汚れやすいせいか、金を払えば冒険者でも普通に入ることができる。


「ふぅ〜」


「あぁ〜、いいなぁ。やっぱり……」


 ライトが息を吐き、ミードがその隣で足と腕を伸ばす。

 互いに体全身から力が抜け、筋肉が弛緩していくのを感じ、再び声を漏らす。


 今は夜。

 ほとんどはカジノに行ってるか何かしらの出し物を見ているらしく、人はかなり疎らだ。


 そのため、周りをほとんど気にせずに手足を伸ばすことができる。


「にしても、楽な仕事だったなぁ」


「だよなぁ〜。

 まぁ、シリアルキラーには感謝すればいいのか怒ればいいのか微妙な感覚になっちまうのがアレだが」


 街に出没するシリアルキラー。


 それのせいで今日やったような仕事がいくつもギルドに入ってくる。

 今回の依頼は今日一日だけだったが、数日や数週間のように長期にわたるものもある。


 シリアルキラーのせいで人は死んでいるが、冒険者たちにとっては割りのいい仕事がゴロゴロしているような状況だ。


 もちろん、自分が襲われればそんなことも言っていられないのだが。


 少なくとも彼らにとっては今はまだ他人事だ。


「ほんと、なんなんだろうなぁシリアルキラーって」


「さぁなぁ。

 なんでバラバラにするのか……何かしら意味があるのかどうかも」


 それに、気になるのは昨日の夜に白銀と黒鉄が言ったことだ。


 マナが濁っている。

 

 その感覚はライトには全くわからない。


 デフェットにも聞いてみたが、違和感を覚える程度で具体的にそれが何なのかはわからないようだった。


 何かしら関連性があるのだろうが、ライトにはそれがどう関係しているのかは予測がつけられない。


「まぁ、俺たちが気にしたところでどうにかできるわけでもないしなぁ」


「犯人を捕まえられる気もしないしなぁ」


 ミード、ライトが再び息を吐く。


 もし、犯行現場を見つけたりしたら犯人を追うことはするだろう。

 しかし、自分から血眼になってどうこうしようとは考えられなかった。


「隣、失礼してもよろしいですかな?」


 ライトたちそんな会話をしていると声をかけられた。

 上を向くとそこには一人の男性が立っていた。


 肩まで伸ばした銀髪と美男子と呼ぶにふさわしい中性的な顔付き。

 しかし、冒険者には見えない肌の白さと体の細い男性だった。


「ああ、どうぞ」


 ライトが答えると「では」とその男性は風呂に入り、息を吐く。


「最近は本当に物騒になりまたよ。

 少し前はスラムやカジノでちょっとした騒動が起きるばかりだったというのに」


「あんたはここに住んでいるのか?」


「ええ、まぁ。

 ここで魔導師をしながら生活をしております。ホーリア、というものです」


 ミードの質問にホーリアと名乗った男性はにっこりと笑いながら答え、続ける。


「おかげで研究も行き詰まってましてね。

 こうして息抜きに入りに来た、というわけです」


「ここに住んでいるのならもっと別の場所があるんじゃ?

 どうしてわざわざ此処に?」


 南副都にはいくつか大浴場がある。


 ライトたちが入っている銭湯は冒険者も入れる。というが実質的には冒険者のための大浴場だ。

 そのため、ここに入るには金を取られる。


 対して南副都に住んでいる者は無料で入れるような場所がある。

 管理を国がしているか、個人がしているかの違いがあるだけで浴場としての機能にはあまり大きな違いはない。


 そのため、わざわざ金を払ってここに入る必要性はない。


「まぁ、それはそうなんですけどね。

 ここに入ると色々と面白い話を聞けるんです。狙い目は人が比較的少ないこの時間なんですよ」


「「へぇ」」


 そういう少し変わった者もいるのかと二人は声を漏らした。


 魔導師とは魔術を研究し、後世に伝える者たちのことだ。


 研究していれば必然的に人と話すことは少なくなる。

 魔術師に教えているにしても、話すことはその分野に限られてしまうため、時々全く別の者と別な話をしたい。


 そう考えるのはむしろ普通なのかもしれない。


「シリアルキラーって今どうなってるんですか?」


「これといった情報はないですね。

 そもそも俺はここに来てまだ二日目ですし」


「俺はもう少し長いけど、特にこれといったのはないなぁ。

 異常に手際が良いってことぐらいか……」


 ライトとミードの答えを聞くとどこか残念そうな顔で「そうですか」とホーリアは呟いた。


「やはり、そうそう情報はありません、か……」


「もしかして、ホーリアさんは捕まえようと?」


「ええ、一応目指してはいますが……本業の方がありますのでなかなか難しくて。

 冒険者の方々に聞けば何かわかると思ったのですが」


「……力になれず申し訳ない」


「謝らないで下さい。仕方ありませんよ。

 誰も犯行現場を見たことがないらしいので……情報がないのは当然です」


 申し訳なさそうに謝ったミードを元気づけるようにホーリアは言った。


 ちょうどその時だった。


「ホーリア先生!」


 脱衣所から誰かの少し尖った声が響いた。

 声の主はずんずんと彼らへと近付いてくる。やはりそれはホーリアの知り合いらしく、ホーリアは声をかける。


「おやおや、速かったですね。ビルツァ。

 もう少しかかると思っていましたよ」


 ビルツァと呼ばれた中性的な男性は少しヨレた白衣を着ており、肩まで伸ばされた髪はボサボサになっている。


 なぜ服を着たままなのだろうか、と思ったがホーリアと彼との間の会話でその理由はすぐにわかった。


「なーに呑気に湯に浸かってるんですか?

 今が一番大事に時期なんですから抜け出さないで下さい」


「いやー、申し訳ない。つい」


「つい、で抜け出されると困るんですよ。

 早く上がって下さい。戻りますよ」


「……仕方ありませんね。わかりました」


 本当に渋々といった感じでホーリアは湯船から出た。


 ビルツァは本当にホーリアを連れ戻すためだけに来たらしく、そのまま彼の後に続いて脱衣所に向かう。


 そして、浴室を出る前にお辞儀。


「お騒がして申し訳ありませんでした」


 そう言いライトたちの前から姿を消した。


 脱衣所の方では二人の男性、というよりもビルツァが愚痴っている声が聞こえる。


「なんだったんだろうな?」


「……さぁ?」


 ミードとライトは顔を見合わせて首をかしげるしかなかった。


◇◇◇


「ああ、昼間言い忘れたことなんだが」


 ギルドの二階で昨日と同じように四人で飲んでいるとミードが切り出した。


「明日、俺の仲間と会ってくれないか?

 昨日色々話した時に君たちを紹介してくれと言われてな」


「ああ、そう言うことなら」


 特に断る理由もないためライトはすぐに頷いた。

 ウィンリィとデフェットもライトに続いて頷いて了承を表す。


「すまないな。どうしてもって頼まれてな」


「いいよ。

 もうミードは一緒に旅をする仲間だし、頼る時には頼ってくれた方が俺たちも楽だし」


「そうだな……ああ、そうだった」


 何か思い出しているのかミードは黙り込んでいたがふっと顔を上げた。


 上げられたそれには自信が満ち満ちていた。その顔でライトたちに告げる。


「んじゃ、明日の朝ギルドに集合だ」


 この時は、普通にミードの仲間に会って軽く話しができる。彼らはそう信じて疑わなかった。


 彼のちょっとした弱点の一つや二つ聞き出してやろうと思っていたほどだ。


 だが、現実はそうではなかった。


 翌日、ライトたちがギルドでいくら待っても、ミードの仲間たちは姿を表すことはなかった。

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