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生徒会政争  作者:
10/29

暗躍

「明日の放課後、ボクたちと生徒会政争をしよう」


 乗り込んできた暫定生徒会四番の会長、最上光太郎はそう言ってメガネを上げた。


「ボクたち四番生徒会としても、交渉によって解決したいと思ってるんだ。スポーツで生徒会を決めるなんて変だしね?」


 最上先輩はハキハキとした口調で続ける。頭の中では警戒アラームがうるさく鳴っているが、今まで聞いた内容で、罠のようなものは感じられない。


「……私たちとしても嬉しい限りです」


 顔に笑みを浮かべる。相手に感情を読まれないためのマスク。


「では、明日。ボクたちの本拠、北校舎の四番仮室へ……」


 そう言うと、最上先輩は背を向ける。そして最後にこう呟いた。


「……お茶を用意して待ってるよ」






 石田くんは扉をしばらく見つめた後、私たちに尋ねた。


「……どう思う?」


 突然の宣戦布告。余裕ぶった態度。怪しい。しかし、それを具体的に説明できない。何というか……。


「……気持ち悪いわね」

「千鶴ちゃん!?」

「ストレートすぎない……?」


 安菜さんと清奈さんが盛大に勘違いしているけど、今はスルー。


「何か企んでいる気がするの。……うまく言えないけど」

「別に企んでいようが関係無いんじゃないか?」


 そう口に出したのは福島くんだ。

 彼は交渉で決着、ということに不満なのか、若干投げやりに言った。


「どうせ、石田が何とかするだろ?」


 あ……この言葉はマズい。

 彼の性格なら間違いなく……冷静さを失って飛びついてしまう。

 止めなきゃ……!そう思ったのと、彼が言葉を放ったのは同じタイミングだった。






「……当然だ!」


 意識はしていない。しかし、声は出ていた。

 俺は中学時代とは違う。


「期待には必ず答える。……大谷と平野、明日は付いてきてくれ」

「ちょっと待て!僕も連れていけよ!」


 片桐が叫ぶ。確かに片桐と一緒に挑んだ方が得策か……。


「分かっ……」

「ダメよ。片桐くんはここに残って」


 俺の言葉は大谷に遮られた。






「何でだよ!?」


 片桐くんは半ば泣きそうだが、ここは譲れない。


「……言ったでしょ、気持ち悪いって。何かあったときのために残ってて」


 当たってほしくないけれど……。

 私のこういう勘って当たっちゃうのよね……。

 片桐くんがしぶしぶ了承するのを横目に、私は今回の件に不安を感じていた。

 何も起こらないことを願うことしかできない。








「……あぁ、明日だ。他の連中にも知らせといてくれ」


 最上光太郎はスマートフォンを耳に当て、話をしていた。


「え? ……分かってるよ。抜かりはないさ」


 四番仮室内。奥に置かれた大きな椅子に腰掛けながら、彼は続けた。


「今回で、七番生徒会は確実に潰す。解散まで持っていけなくても、迂闊に動けないようにしてやるさ。……じゃあね」


 通話を終え、部屋を見渡す。

 そこには綺麗に並んだ役員たち。

 指示を待つ彼らに対し、最上は大きく手を振り、言葉を放った。


「さぁ、明日のパーティーに備えようか」




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