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【第0話】 序 ― カンッ (プロローグ)

挿絵(By みてみん)

──カンッ。


その音が、すべての始まりだった。


正義は、いつも誰かの涙の上に立っている。

法は人を守るためにある。

……そう信じていた。


けれど、法は俺の家族を救わなかった。

罪を認めぬ者が笑い、

泣く者だけが深く沈んでいった。


あの日、裁判官の槌が鳴った瞬間、

世界の“理”がひび割れた音がした。

あれは、ただの判決音じゃない。

俺の中の何かが砕けた音だった。


——だから俺は、壊すことにした。

この歪んだ法が、再び誰かを泣かせぬように。


静寂の中で、秒針が一拍だけ早く動いた。

世界が、わずかに傾く音がした。


──カンッ。

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