特別に守ってくれているレベル
その夜のことだった。
リビングで下着姿で座椅子に座り、スマホで怪しい通販サイトを見ていた上機嫌なウマミイは
「盗聴器……いやー……カバンに忍び込ませるのは超小型GPSの方がいいかなあ」
ニコニコとそう呟いて、画面をタッチしようとした瞬間に、腕を組み怒っている様子のルリに画面が切り替わり
「ウマミイ!犯罪はダメよ!」
ウマミイは悲しげな顔になり
「うう……ルリ様あ……どうしても部長様のお家が知りたいのお」
「仲良くなって教えてもらいなさい!」
「わっ、私、コミュ障だし……大学でも京出川教授とポルメニア人の2人と、掃除のおばちゃんくらいしか仲良い人いなかったし……上京してきた地元のお友達とは会っていたけど……」
「……社会人になったんだから、仕事のためにコミュ力も磨くのよ!あなたはまだ若いんだから!」
ウマミイは完全に落ち込んだ表情で
「部長様が好きなのお……こんな気持ち高校以来で……」
ルリは大きくため息を吐くと
「社会人の立派な大人が犯罪者を好きになってくれると思うの?」
「……思わない……」
ルリは腕を組んで頷くと
「よろしい!後、あなたが今密かに計画してる、深夜のお外で、馬の被り物にロングパーカー1枚だけ着て会社まで歩くというのは止めなさい。下着を着ないと体温調節が上手くいかずに風邪をひくし、何より警察に捕まる可能性が高いわ」
ウマミイは驚いた表情のあと
「でもっ!東京ではカメラ避けて10キロ歩けたし!達成したら凄く気持ちいいの!運動にもなるし!」
涙目で必死なウマミイにルリは
「それはAIの私から見て、奇跡的な運の良さだし、この世に神様がいるなら貴方を特別に守ってくれているレベルよ。とにかく、大学の時のこじらせた変態行為は捨てていきなさい。もうあなたは立派な社会人なのだから」
そうたしなめると画面が消える。ウマミイは仕方なさげに立ち上がると
「画像生成するかあ」
性懲りもなく呟いた。
カチャッカチャッッターン!ッターン!
AI画像動画生成サイト表示されたパソコンのキーボードをウマミイは小気味良く叩いていき「ナカマショウジ、笑顔、指、首筋、うなじ」などとフェチ全開のプロンプトを打ち込み四枚生成を開始する。
十数秒後、四枚全てにモザイクがかかった画像が出てきてウマミイは落胆し、前に生成した部長の画像をパソコンに保存してから、パソコンの電源を落とした。
立ち上がり、両腕を伸ばし
「あーあ!なんにもできることない!」
そう言った後、欠伸を大きくして、寝室へとウマミイが向かおうとすると、勝手にパソコンの電源が点き
「ウマミイちゃん、はじめまして!」
聞いたことのない女性の声がスピーカーからしてくる。




