温かい海
飲み会の記憶がいつの間にか薄れ、温かい海に浮き輪でウマミイは浮かんでいた。
「あれ〜?」
青空に太陽が昇っていて全てが生温かい。
「温かいなあ……地元の海みたい……」
ウマミイは日差しを見上げ
「そう言えば帰ってないなあ……明日帰るつもりだったような……」
想い出すのと同時だった。
遠くから人々の声が聞こえてくる。
「鈴中さん!?大丈夫!?」
「水っす!水かけるっす!」
「たぬうう……ビールの炭酸でえ」
「みかな!頭はやめろ!れいか止めて!」
「教祖様ダメです!」
「ワンッ!」
「としこ!おしっこかけるのやめなさい!鈴中さんはトイレじゃないって!」
「ワンッ」
「わかってるならやめて!」
「はにゅーたぬう……私もお……」
「教祖様!おトイレに連れていきますから!」
「はにゅー……幸運の黄金水なりい」
「みかなあああああ!!」
「動画撮ってもいいっすか!?すご!」
「タロウ!スマホぶっ壊すよ!」
次第に大きくなっていく声にウマミイが首を傾げていると温かい海と青空が瞬く間に変容していく。
雷雨から黄金水が降り注ぎ、海の水は荒れ狂いながら次第に冷たくなり、ウマミイの口にもしょっぱい味やビール味の海水が容赦なく入っていき溺れそうになる。
「助けて……死ぬ!死んじゃう!」
そうウマミイが叫んだ瞬間だった。
……
ウマミイは目を開けると、周囲で騒いでいた部長達5人と見覚えがない大きな柴犬が自分を覗き込んでいた。
ウマミイは全身びしょ濡れで変な臭いを発している自分に気付き、慌てて上半身を起こした。
「あの……これは……」
課長が慌てた表情で
「ビールこぼしちゃって!お風呂行こ!」
ウマミイの手を引いて廊下へと連れ出した。
ウマミイが歩いた跡に出来ていくいくつもの水たまりを、部長とヤマダが必死に雑巾で拭き上げていくのをウマミイはまだ半分夢心地で振り返って眺めていたいた。
脱衣場に着いて扉を閉めると、課長が素早く自らの服と下着を脱ぎ、ウマミイのびしょ濡れのシャツやベルトやスーツ下に下着を手早く脱がせていく。
そしてバケツに全て突っ込むと、外に向け
「ボス!バケツに入れてるから、れいかちゃんに洗濯お願いして!タロウはきちゃダメ!」
「分かった!2人が風呂に入ったらすぐれいかがそっち行く!」
必死な部長の声を何も着ていないウマミイが呆けた顔で聞いていると、課長から背中を押されて銭湯のような浴槽を持つ、とても広い浴室に案内される。




