馬に乗る王子様の上位互換の夢
その後、ウマミイは何とか部長の背中から離れることに成功して
「いやー申し訳ないです……」
正座しながら何故か課長に謝っていた。
部長は昼風呂に入って来ると言って、居間から出ていった。
課長は気にしていない様子で
「いいのいいの。私は別に部長と付き合ってないし」
「……部長様は何がご趣味なんですか?」
「んー……殆ど仕事が趣味みたいな人なんだけど、一つだけ好きな事があるよ」
「それは、ご本人から聞くべきと」
「そうだね。でも別に隠してないし、そのうち分かると思うけどね。お茶入れてくるよ」
課長は笑いながら居間から去って行った。
1人居間に取り残されたウマミイのスマホからルリの声が
「こちらのAIさんが謝罪したいそうよ。パソコンの覆いとイヤホンを外して欲しいんだって」
ウマミイがルリに言われた通り外すと、画面で正座した先ほどのワンピースの女が
「あの改めて、ポルメニアが独自開発した超高性能AIのレナと言います。大変なご迷惑をおかけしました」
頭を下げていく。
「いや、こちらこそ何かすいません。鈴中美射です。よろしくお願いします」
ウマミイがパソコンの前に正座して頭を下げ返すと
「あの……ちょっと頼みたいことが……」
と言ってきた。
ルリの声がスマホから
「ポルメニアの宇宙開発のためのパイロットを部長さんに頼みたいんだけど、色よい返事がもらえないんだって」
ウマミイは衝撃を受けた表情で
「部長様を宇宙飛行士にしたいんですか?」
パソコン画面から女性が
「うん!AIの私が宇宙船で彼が宇宙飛行士!良いでしょ!?」
更に大きな衝撃を受けた様子のウマミイは両目と口を大きく開いたまま固まってしまう。そして
「そっ、それはつまり……馬に乗る王子様の上位互換の夢なのでは……!?」
意味不明なことを口走ってしまったウマミイに、パソコン画面の女性は自慢げに
「そう!だから新入社員で気の合いそうなあなたに手伝って貰いたいと思っ……あれ?」
ウマミイは四つん這いになり
「ブーン……私はポンコツ宇宙飛行機……ダメなAIの私を叱ってください部長様……」
発情した表情で畳の上を回り始めた。
パソコン画面の女性は慌てた顔で
「ちょっと!それ私の計画です!取らないでよ!あとダメなAIじゃないから!ポンコツ宇宙飛行機でもないです!両方とも最新鋭よ!」
ウマミイは既に自分の世界に入ってしまっているようで
「ひとりじゃ月に着陸できない宇宙船でごめんなさい……優秀なパイロットの部長様……私を導いてくださあい……」
ブツブツ言いながらスクワットの様な謎の動きをし始める。パソコンの画面には女性が飛び出んばかりのアップになり、本気で怒った表情で
「だから取らないでって!あと月にはオートパイロットで着陸できるって!」
スマホからルリが大きくため息を吐くと
「似た者同士みたいね」
と言った。




