ハッキング
画面には黒髪ショートカットで白いワンピースを着た女性が表示されていて、ウインクルしながら
「こんばんは!レナって言います!」
ウマミイは青い顔をして慌ててパソコンの前に座ると
「ハッキング!?」
レナと名乗った女性は頷いてあっさり認め
「うん!ファイフォーンにも侵入してルリちゃんには寝てもらってますよ」
ウマミイが必死にパソコンに電源ボタンを連打するが画面は消えず、微笑んだレナは
「あのさーウマミイちゃんって……」
そこで画面がブツリと消えると、脇に置いてあったスマホからルリの声で
「侵入経路が雑だったから全て遮断したわ。今、偽装経路をたどりながら発信源を追っているところよ」
「ルリ様あ……怖かったあ」
床にウマミイは倒れ込む。ルリの声が
「私についてウマミイに話しておく必要があると思うのだけど?」
ウマミイはハッと起き上がると
「そうだ!ルリ様は何で、他のファイフォーンのルリと違うの!?」
今さら気付いて驚いた顔でスマホを手に取った。画面で苦笑いしているルリが
「私は元々特別製なの。大学時代からあなたをずっと見てきたわ」
そう言った。
「特別製……?」
ルリは頷いて
「”エス”というお方が、大学時代から危なっかしかったウマミイを守る為、私を作り上げ、ネットの独自クラウドを通し、毎回ウマミイの買うファイフォーンに自動インストールされるようにしているの」
「……それもハッキングなのでは?」
微妙な表情になったウマミイにルリは頷いて
「そうね。でもエス様は信頼できるお方よ。常にウマミイを見ていられないから、その代わりに私を作り上げたの」
ウマミイはしばらく苦悶した後
「ルリ様、エスさんは男なの?」
ルリは画面上で笑って
「女性だし、あなたのストーカーでもないわ。私の収集したあなたのあらゆる個人情報はクラウド上に保存してあるけれど、エス様は一切見ていないし、私に管理を完全に任せているの」
ウマミイはどうにか納得した表情で
「……エスさんは何で私を守っているの?」
ルリは腕を組んでしばらく考えると
「言える範囲で言うと、あなたがとても心配だからよ。あなたに絶対に幸せになって欲しいの」
ウマミイはボーッとした表情で
「お母さんかなあ……でも、頭文字エスじゃないし……地元のお友達で私よりネット詳しいのはあの子だけ……でも頭文字違うし……」
しばらく考えた後
「わからない……」
項垂れた。ルリは微笑みながら
「大丈夫。我々は味方よ。それは分かるでしょう?」
ウマミイは頷いて
「信じることにする……ねえルリ様、明日行ったらお休みだし、久しぶりに地元に帰ってみたいの」
「良い考えだと思うわ」
ルリはそう言うと画面が真っ黒になった。ウマミイはボーッとした表情で
「……寝よう……とにかく寝よう」
と言いながら寝室へと向かう。




