旅行当日
旅行前日の夜、河本主任から、メールが届いた。
「英君から、聞きました。もしよろしければ、迎えに行きましょうか？」 …。私は、最初は、断ったものの…「”まきさんのホテルの駐車場に、車を停めるのも、他のお客さんに…。」…。”確かに”…。河本主任のメールを見て、納得した私。お言葉に甘えて、お願いすることにした…。だけど、河本主任に、私のアパートがバレるのが、嫌だったため、アパートの近くにある、コンビニまで、迎えに来てもらうことにした。旅行当日。荷物を持ち、コンビニまで歩いて行く。まだ、朝だからか、そんなに暑くもなく、むしろ涼しい…。トコトコと、コンビニに向かって歩いて行く…。「”お昼ご飯…”」 そんな事を、考えながら、歩いていた。途中、向日葵が咲いている花壇が、目につく。「”夏だなぁ…。でも、最近10月末くらい”…。」…” パン”！！車のクラクションの音。驚いて、車道に振り向くと…。車の運転席から、笑顔で、私に手を振っている人がいる。…？…あ、河本主任？！
《旅行当日》俺は昨夜、”彼女”にメールを送った。前の日、英と服を買いに行った時、「海ちゃん達、明日姉さんのホテルで待ってってさ。海ちゃん、一旦、姉さんのホテルまで、車で行くって。」俺は英に、「あ、なんなら、俺、青野さんも迎えに行くよ。英、メールして…」 と頼んだ。だが、英は、「河本君からしなよ。」 一言返す。
「え！？俺…。」 いや…俺から？…。「？何か、都合悪いのか？」英にそう尋ねられ、焦る俺。 「…いや…あぁ…分かったよ…。”メ…メールだから…”この前”みたいに…”電話”…じゃねーし…だ…大丈夫か。」買い物を終わらせ、アパートに帰った俺。レトルトカレーを温めていた。「あ…”あの時”は、緊急事態だったから、”電話”したけど…今思えば、”彼女”との、”初の電話”…だったんだよな…。」…ポコポコと沸騰してくる鍋。”飯食ったらメールするか…” カレーを皿に盛って、テーブルへと持っていき、食べ始めた。…今から既に、緊張しているのか、カレーの味が分からない…。食べ終えると、俺は、深呼吸して、自分を落ち着かせ、メールを打った。それでも、メールを打つ指が震え、スマホを握っている左手は、汗をかいている…。最初は、断りのメールが着たけど…次のメールで、迎えに行くことが、決まった。”彼女”のアパート近くの、コンビニで待ち合わせ…。俺は、ホッと胸を撫で下ろす。「”緊張した…。明日は衣織を迎えに行って、英を迎えに行こう…そして…”彼女”を”…。」
俺は、明日に備えて、早めに休む事にした。が、楽しみと緊張で、中々寝付けない。
「彼女…どんな格好で来るかな？…いつものスタイルか？…オシャレ？してくるかな？…海だから、水着、着るかな…。水着！？…。…。」 彼女の水着姿を想像した…。”……”。俺は、思わず…”が…ガキか俺は！…今どき、学生でも、そんな…じゃぁ…なんなんだ”…！？…声に出して、布団の中に潜り込んだ。そのまま、眠りについた俺…。翌朝、衣織を迎えに行き、英も迎えに行った。車を運転しながら、衣織の話しを聞いている。「パパ！今日、海で遊べるかなぁ？」 「ん〜？どうだろなぁ…。」 旅行プランは”彼女”が選んだから…もし海で…泳ぐなら…。また”如何わしい妄想”をする俺…。と、彼女の待つ、コンビニ近くの、歩道を歩く女性が、目についた。向日葵を見ている。”…！”彼女だ”！ 咄嗟にクラクションを鳴らした俺。驚いて、こっちに振り返る”彼女”…。俺は、車を路肩に停め、ハザードをあげた。運転席から、手を振る。彼女が、周囲を確認して、こっちに向かってくる…。その姿に、俺は、また見惚れた…。
