いいよ。
伊原さんが席を立つ。
「…そろそろかな?」
土鍋の蓋を開けた。湯気が上る。
「いいね…美味しそう…」
…鍋を取り分けてくれた。ふぐ鍋なんて初めてだった。早速…ポン酢を付けて…食べる…。
…凄く美味い。
「美味しい…。」
青野主任…凄く幸せな顔してる…。
「…美味しい♪上品で繊細…それでいて、身はふわふわで…こっちは、プリっとしてて…」
…彼は確か…
「美味しいですか?岡崎さん。」
伊原さんが岡崎さんに聞いた。
「はい。伊原さん…。こんなにいい忘年会をしてくれて、本当にありがとうございます。」
岡崎さん。彼は、業務課に中途採用された方で、元は料飲サービスの仕事をしていた方。
「ルナでも…」
「ルナ?…って…あ、palaceLUNA?」
「そうです。」
…俺とうみが結婚式を挙げた…って…!!思い出した!!
「岡崎さん、もしかして、俺と青野主任の結婚式の会場に居た?」
岡崎さんが笑って、俺に言った。
「はい(笑)河本主任と青野主任の結婚式の会食場のスタッフでした。」
「…本当に?…河本主任…なんで分かったんですか?」
「岡崎さんの右目じりの…。」
「あ、これですか。これ、生まれつきなんですよ。」
岡崎さんの右目じりに小さい痣がある。その痣が鳥みたいな形をしていた。印象的だった。
「伊原さん、余興やります?」
「あ…余興…何も考えてなかったなぁ…。」
伊原さん、白ワインのグラスを手にした。そっと口元に運び、飲む。
「…ピアノありますね。1曲弾いても?」
「いいよ。…何弾くの?」
「…ジャズ。」
「「ジャズ…?!」」
加藤主任、青野主任が驚いた。伊原さんは、
「…ジャズ…。…ねぇ…岡崎さん…」
伊原さんがポケットからスマホを取り出した。…
「これ、できる?」
「…いいですね…♪ちょっと失礼♪」
…一体…。岡崎さん伊原さんのスマホの音を聴いていた。
「いいよ…OKです。」
岡崎さんが席を立ち、ピアノのへと歩いて行った…。




