珍しさゆえに
雀まんじゅうを買ったオマケに付いている、藤さんの物語…。まさかの新作が今日、出ていた。
武柳さんが俺にこんな事を話してくれた。
「藤さんは最近入社してきた方です。けど、ここの上司の1人が彼女の趣味を聞いて、ここの土産物で物語を書いてくれと頼んだんです。そしたら…」
「…そしたら」
伊原さんが武柳さんに尋ねた。
「悩んみつつも、何作か作ってくれたんです。その2つがこちらです。」
ケースに入っている、色違いの書面を手に取った。1つは薄いオレンジ色の書面。もう1つは、黄色の書面。
「…こっちは、俺が職場で見た作品です。」
黄色は俺が職場で見た、藤さんの物語…。もう1つが新作…。
タイトルは…
「あ、お帰りなさいませ。」
…客がきた。雀まんじゅうの会計を済ませて、その新作をロビーのソファに座って読む事にした。伊原さんもあ…いや、うみも読む…。2人とも嬉しそうだった。
前回の干し柿と雀は、うみが読む事に。
俺は新作を読む…。
雀に導かれ
暮れに帰省した。久々の実家はやっぱりいい。
炬燵でお茶を飲みながら、干し柿を食べていた。
母が私に話した。
「31日、寒雀に泊まりに行くよ。」
「え?マジで?」 「うん♪」
…年越しは寒雀に泊まる…。家族で過ごすのは久々で、実家で母が作ったご飯を食べて、ゴロゴロと思っていたから…。
「にん…河本主任!!」
!!伊原さんに声をかけられた!一気に戻された俺!!
「お部屋に行って読みましょ…」
うみが、俺にそっとあそこ…と視線を送り教えてくれた。ロビーから見える受付する客…って…猫や犬達が…。ソファから立って、部屋行くことに…。カウンターから武柳さんが他の客の受付をしていた。
鍵の入った箱を手にした伊原さん…。
「河本主任、みんな来るまで、うちらの部屋に居て。」
「分かりました。」
階段を上り、部屋へと向かう。ドアの上には、鳥の名前とルームナンバー…。伊原さん達の部屋は雉で203号室…。部屋に入ると、シンプルな和室。
テーブルの真ん中には、ご当地のお菓子だった。
「あれ?」
うみに?が見えた。
「…2枚とも…。日にちが…」
伊原さんが物語の制作日を見た…。
「物語の作った日にち…この日、藤さんがPC科からメールした日ですね。」
…あ、え?!あの後また…?!…あれ…でも…
「うみ、なんで分かったの?」
すると…
「グラタン作った日。滅多にグラタン作らないから、覚えてたんですよ。後、雷斗さんが藤さんの物語を作ってる所を見たって…凄く興奮してたから…珍しいなぁって…(笑)」
…な…なるほど…




