やっかみ
うみが伊原さんに話した…。
「…愛の挨拶でしたね。…彼に聞かせてあげたかったですね。」
「…びっくりしてまたどっか行くと悪いから(汗)」
何となくわかる様な気がする…。
「うみ…あ、いや…青野主任、知ってるの?」
「はい。この曲、テレビのCMソングで流れてて…いいなぁって…。」
「海?」
支配人さんが私を見た。
「お2人はご夫婦ですね。」
「え?!藤さん、なんで…?!」
伊原さんが驚いて声をあげた。
「…見てると分かります。河本先生ずっと、青野様に寄り添うように立ってましたし、海…と…その後、呼び直しましたから。」
す…鋭い…(汗)
「そうでしたか。」
支配人さんは、藤さんを見た。
「よく分かったね。…藤さんもピアノ弾ける?…」
「ピアノ弾けません。けど…今ので書けます。」
支配人が藤さんに言った。
「今のでか。見た物をすぐに…才能だよな。…これじゃぁ、やっかみも出るな。」
「…」
そう伝えた…。
「やっかみ? 」
ら…河本主任が、支配人さんに尋ねた。
「あ、いえ…。」
支配人さん、口ごもってしまった。
「…なるほど…」
藤さんを見て…伊原さんが呟いた。
伊原さんは、藤さんを見て
「藤さん、支配人、ロビーに戻ります。」
やっかみ…。分かる。これ、本当にキツイ。まして…新人の藤さんなら、尚更…。
「畏まりました。」
「行こうか?青野主任、河本主任…」
「はい。」
「…はい。」
朱雀の間を後にした。
1階のロビーには、さっきの柴犬を連れたお客様が…。
「この辺りを散歩してきます。」
「畏まりました。」
…そのお客様から見て、右側…。棚があった…。なんだろう?…後で覗いて見ることに…。




