ちんちくりん…
藤さんの物語は、きまぐれさんの鍋料理。となっていた…。この話…明里さんが話していたタイトル名…。読んで見る…
「宿泊客に出す、鍋を作っているが…40年近く変わらぬ味と分量。…冬は鍋と決まってるが、たまには鍋料理以外で目を引くものは無いか。…いや、先輩が考えたメニューを変える訳には…。この鍋は本当に美味い。唐辛子の辛味と卵のまろやかさがこんなに合うとは…。出汁は、昆布や、鶏ガラ…まあ動物系の出汁を…。」
…唐辛子と卵か…。…ちょっと休憩。パスタを食べ終えた食器を片付ける事に。食器を台所の流しに持っていき、洗って、カゴに伏せた。鍋も洗う。洗い物を済ませて、炬燵へと戻る。…テーブルに置いたスマホを手に取り、また藤さんの物語を読む。
「…この出汁で新メニューの開発をしてみるか。鍋料理じゃなくて…」
…新メニュー?
「…彼女にこれから、新メニューを作るから…それを書いてもらおうかな?…宿泊されるお客様の、時間がある時に読んで頂いても…。…でも…迷惑かな?…」
迷惑…?なんで?…
「プロが書いた物語ならまだしも、ど素人でしかもただの社員…。あんなちんちくりん…」
…藤さん、今どきちんちくりんって言わない…(汗)…。ど素人か。…確かに、お金を払って泊まりに…って…。あ…。
「金払って泊まりに来てるお客様に悪いよな…。やっぱり、止めようか…。」
料理長…迷ってる…
読み進めて行く内に分かったけど…この話…鍋料理から、何か新メニューを開発しようとしてる料理長の話しを書いてる…
「…1度手を止めて、板場を離れ、売店に行く。品出ししていた、売店のスタッフに、鍋の素を1つ貰った。板場に戻る。この鍋の素をボール、いや鍋に開けてと…。この鍋の素は、シンプルに出汁のみしか入れてない、黄金色の出汁だ。…まずは、この薬味を入れる。ニンニクと生姜、後は…コチュジャンを入れた。…一応、味見。辛さはこのくらいだな。唐辛子は好みで後入れに…。甘さは…何か?あ、りんごと梨がある。…果物の甘さ。と…水飴を少し。これなら?…味見。お、これならイケる。1度鍋を火にかけて温めて。温め、冷やす事で味が馴染むかな?…冷めたスープを味見。…ん。安定したな。…これ、冷たい方がイケるかもな。」
冷たい方が美味しい?
「これに合うのは、白飯より麺が合うか?…この辺りは、蕎麦やラーメンも有名だからな。…あ、なら、このそば粉と小麦粉をブレンドして…麺に。」
…ご飯より麺か。




