見立て外れ
藤さんは会議室の時計を見た。
「…そろそろ…行かないと。」
?…どうしたのか?なんか…さっきより表情が暗くなった。
「…藤ちゃん、最後に依頼どうなったの?」
明里さんが藤さんに尋ねた。
「今読んでもらってるよ。一応、3つ書いて、持っていった。どうなるかなぁ…?」
「どうなるって…(汗)」
明里さんが驚いていた。
「書いた側だけどね、依頼主が気に入ったら、それまでだし、ダメならまた書けばそれまでだから。」
「あれで?ダメって…じゃぁ…(汗)」
「プロなら分かるでしょ?」
ジッと伊原さんを見る藤さん。
「プロ?」
明里さんが藤さんに尋ねた。
「伊原さん、プロでしょ?」
「違います(汗)」
伊原さん、びっくりしてる…(汗)
「見立て…ハズレたかな(笑)…じゃぁ、そろそろ。」
「あ、はい。ありがとうございました。」
椅子から立ち上がり、
「では…。あ、寒雀でお待ちしております。」
そう…話して、会議室を出て行った。
藤さんが会議室を出た後…。伊原さんが
「聞きそびれたな。」
「何をです?」
ら…河本主任が伊原さんに尋ねた。
「藤さんが職場の方から依頼された、物語…」
「私知っていますよ。」
明里さんが伊原さんに言った。
「マジ?どんな話?」
「確か、鍋?を題材に…あ、気まぐれさんの鍋料理。」
明里さんがぽんと手を叩いた。
「気まぐれさんの鍋料理?」
加藤主任が明里さんに聞き返した。
「そう見たい。なんかね、鍋の素を寒雀でお土産用で売るから、その素の…物語を書いてとか…」
「…気まぐれさんの鍋料理か。」
伊原さんが嬉しそうにしていた。
「伊原さん、嬉しそう?どうして?」
伊原さんは、
「同じ趣味を持った方に会えたし、寒雀に行けば、その物語を読めるからね。楽しみなんだ。」
…同じ趣味。確かに、同じ趣味を持ってる方と話すのは、楽しいもんね。




