表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
747/804

報告書

…あの物語、藤さんが…

「仕事を辞めて、半年かな。…職安に行って職探ししながら、実家とかに行って、家の事したりして、過ごしてました。その時に…前職の上司から、一緒に働かない?って誘いを受けたんです。介護員では無くて、パソコンを使った仕事だと。」

…藤さんは半年前の事が既に懐かしいのか、まるで昔話をしている様に話す…。

「パソコンの事をよく知らないから、主人のお古のパソコンを借りて、ちょっとだけ練習をして。最初はキーボードやマウスの使い方…操作って言うのかな?そこから、始めたんです。ローマ字打ちで、あいうえおやアルファベットを打ったりしてました。慣れてきたら、都道府県や植物、動物なんかの文字を…。」

…だからか。初心者の割に、キーボードをそれなりに打ってたのは…。

「それが…なんで物語になったの?」

明里さんが藤さんに尋ねた。

「…ただ文字を打つのに飽きたの。で、パソコンの文字打つ練習がてらやってみたの。物語をやってみようかな…と。」

「…そうなんですか。あ、でも…」

加藤主任が疑問に思っていた事があったのか、藤さんに尋ねた。

「あの…職場…それから報告書って…?」

…藤さんは、うーんと…と頭を左手の人差し指を使い、カリカリと掻いた。…

「どう説明…」

ギョッとする加藤主任。俺も驚いた!その口調が…いや、仕草が伊原さんと同じだった。

「…前職で、ある報告書を書く事があったんですが、これが凄く大変だったんです。この報告書…ヒヤリハット…」

「え!ヒヤリハット?!」

伊原さんが驚いて声を上げた!な…なんだ?その…ヒヤリハット?って??…と…


…今まで藤さんの話を黙って聞いていた、うみが藤さんに話した。

「ヒヤリハット…。ひやりとした出来事や、はっとした出来事。ですよね?」

「う…青野主任、知ってるの?」 「はい。」


伊原さんが知ってるのは、何となく分かったが、まさか、うみが知って…


「そうです。…そのヒヤリハット報告書を書いて提出したら、そこのリーダー格からね、散々言われてね。で…落ち込んでたら、常勤看護師の方がヒヤリハットの書き方を教えてくれて…。その看護師さんが書いたヒヤリハット報告書…その時の報告書がその時の場面?いや光景…情景?が…手に取る様に分かったし、その時にあった事が見えた。…で、何度も読み返して、メモしたりして…。」

「…それで…」

伊原さん…声震えてる…


「…それを思い出しながら、パソコンに打っていって…で、それをその一緒に働かない?って誘ってくれた上司に、スマホのカメラ機能で写真を撮って…LINEで送って見てもらった。そしたら…」

そ…そしたら…(汗)

「これ…情景分かって、いい。冬ってこんな感じだよねって。その後でその上司からLINEで…」

LINEで…?


「これ、携帯小説に掲載してみたらって…。」


…藤さんは、そこで話すのを止め、会議室の時計を見た。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ