情景
藤 由未さん。寒雀のフロントスタッフ…。まさか彼女が、物語を書いて掲載していた女性だった。つきさんと俺…明里のスマホをガン見…(汗)
「…こ…こんな事…マジ?なんか??」
つきさんが藤さんの物語を読んで、思わず言った。信じられないのも無理ない。俺だって信じられないから。だって、藤さんってあの、藤さんなんだよな?パソコンを変わった手つきで打ち、ちょっと声をかけただけで、モロビビりまくって、警戒心丸出しの…(汗)…。それが…こんな…物語を書くのか?!つきさんが…
「12月21日って、今日…だよね?」
呟くように、言った。
「はい。」
明里が返事をした。つきさんは、藤さんの物語の1部を読んだ。
「…12月21日、昼過ぎ…イキナリ揺れた…。」
「え?」
…今日の昼過ぎに揺れたって。
「…あの…」
明里がつきさんを見て、こんな事を教えてくれた。
「つきさん、兄さん、驚かないで聞いて。実は藤さんってちょっと変わってる女性なの。」
「変わってる?」
明里に聞いた。
「うん。なんて言うのかな?こう…予知しちゃうみたいなの。」
「予知って…あの予知能力と予知夢とかの予知??」
「うん。…藤さんが言うには、特に何も考えずに、書いた物語が、現実になったりしたりするんだ。って。」
「ど…どう言った事が?」
つきさんが興味深そうに、明里に聞いた。
「例えばですけど、地震が起きた、その数日もしないうちに、現実的に起きたり…。後はありもしない話を載せたのに、実現したり。」
…明里の話がマジなら…
「明里さん。藤さんの物語の話って、体験談じゃなくて、空想?…妄想を物語にして、書いて…いや、パソコンやスマホで文字を打って、物語を作ってるんだね?」
「はい。でも一部は藤さんの体験も入ってるみたいですけど。」
「…1部って…これ1部なの?コレだけ情景が取れる話を書いていて…空想?」
「「…情景?」」
明里と俺が同時に、言った。つきさんが静かに頷き…
「うちだけなんかな?こう…なんて言ったらいいか分からないけど、うちの場合は、日記?見たいな感じて書いてるのを、物語化した話が多いんだ。後、時事ネタ?って言うのかな?…それを書いてる。でも…藤さんの場合は、何も経験しないで、書いた。これ、経験が無きゃ書けないよ。特にこの、話し…。」
つきさんがスマホを明里のスマホを見ながら、指を指した。
その話を見て…俺はビビりまくった!




