一輪花
寒雀を後にし、高陽市内へ向かう。
「可愛かったなぁ♪」
「本当に♪」
つきさんと海さん、社長達に挨拶されていた。河本と俺には、帰り際に来てくれた。俺には社長の猫吉さん。河本には芝子さんが挨拶。撫でた後は、藤さんと共に見送りしてくれた。打ち合わせが終わったのは昼12時を少し過ぎていた。腹減ったな。車の時計を見たつきさん。
「朔夜さん、河本さん、海さん、昼、食べに行ってもいい?」
「あ、もう昼か。」 「お腹空きましたね。」
「つきさん何処に行きます?」
「そうだなぁ。…あそこに行くか。」
「あそこ…って?」 「ん?内緒♪」 「?」
つきさんが俺たちを連れて来てくれた。…駐車場に車を停めた。…看板が、目に付いた。…スタンドタイプ。…洋食…一輪花。車を降りて店の中へ。
「いらっしゃいませ…。」
物静かな女性が俺たちを迎えてくれた。
「4名です。」
「窓側のお席へどうぞ。」
窓側の席に向かう。席に着くと、女性が水とおしぼりを持ってきてくれた。
「ご注文が決まりましたら、お声がけ下さい…」
「分かりました。」
のそのそと俺たちの席を離れた。つきさんがテーブルに置かれたメニュー…
「今日はランチメニューで、ビーフシチューのセット。」
メニューを見ずに、決めた。
「俺もそれにしよう。」
「私は…あ、スープパスタランチにします。」
「朔夜さんは?」
「あ、俺もビーフシチュー…いや、ビーフカレーのセットにします。」
ランチメニューが決まり
「すみません。」 と…つきさんが声をかけた。
先程の女性が来てくれた。
「お決まりですか?」
ビーフシチューのセットが2つ…。スープパスタのセットが1つ…ビーフカレーのセットが1つ…。以上で…。」
…つきさん、凄いゆっくりと伝えたな?なんで?「畏まりました。お待ちください。」
…そう言って、俺たちの席を離れた。
「つきさん、この店…」
「…老舗の洋食屋さんだよ。」
「…そうなんですか。」
店内は、昼時だからか、それなりにお客さんがいたけど…何故か静かだった。食べてる、食事を…え?!な…ナイフとフォーク?!…。
河本も海さんも気がついた。海さんがつきさん静かな声で聞いた。
「あの…伊原さん、もしかしてこのお店って、ドレスコード……」
「無いよ。ここ、ステーキとかもあるから。」
あ、そうか…。
つきさんは、
「今日はビーフシチューの気分だから、ビーフシチューにしたけど何時もは、サイコロステーキなんだ♪」
…サイコロステーキ…。つきさんの好きな食べ物…。




