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辛くて仕方ない

午後2時40分。藤さんが受講にきた。受講は3時からだったから、藤さんに話を聞こうとした。スマホを見ながら…ぶつくさ…。…藤さんに声をかけた。

「お疲れ様です。」

俺見た藤さん。…なんか疲れた表情だな。大丈夫か?

「お疲れ様です。…」

藤さんに事情を話した。すると…

「…ここでは、ちょっと…」

「なら面談室へ行きましょうか。」

「…分かりました。」

「私も同席してもいいですか。」

河本が来てくれた。

「…分かりました…。藤さんいいですか?」

「はい。」

3人で面談…いや、会議室1へ行く。ここで話を聞くことにした。会議室へ入り、対面で座りる。

「ざっくりですみません…。私の身内は、3年前に症状が出て…町医者に行って、総合病院に紹介された後に即入になりました。…すい臓がんでした。」

…俺の父さんと同じ病気。

「…1度、手術を受けた。開けたら、ほかの臓器との癒着が酷くて、手術を止めて、そこから1年間、化学療法をしました。…1年後、腫瘍が小さくなったから、手術しましょうとなって、手術をして…取れる所まで取り、残りは化学療法で治療を続けました。」

「…化学治療って…。」

河本が静かに言った。藤さんは視線をテーブルに落として…静かに話した。

「抗がん剤治療の事です。」

抗がん剤…聞いた事がある。

また静かに藤さんが話してくれた。

「その後、あの人は、元気になりました。…」

藤さんは、それ以上何も話さなくなった。俺も、もっと、聞きたい事があるのに、言葉が出なかった。




藤さんの話を聞いた…。俺もまだ信じられずにいた。加藤主任を見た、藤さん…

「…大丈夫ですか?」

心配し、声をかけた。

加藤主任が震えていた…。藤さんの話を聞いて不安になったのかも知れない…。その後で藤さんが俺たちに話した。

「あの…この治療法は、あの人の場合です。ガンを患っている方、全員がそうとも限らないですから…。」


…あ、そうか…この話し方、藤さんのこの感じって、まるで…伊原さんみたいなんだ…。藤さん達と会議室を出た後、藤さんは、俺をそっと呼び止めた。そして

「加藤先生を支えてあげて下さい。…かなり精神的に参っています。今後、もし加藤先生が辛くて仕方ない時は、こう伝えて…。病院の緩和ケアの看護師に相談して。と…。」

辛くて仕方ない時は緩和ケア…。メモを…俺にそう話して、その場を離れようとした。

「あ、待って下さい。」

…この時俺は、藤さんに聞いてみたい事があった。

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