作れるんですか?
昼休憩。うみにLINEした。…だけど、返信が無い。これ…多分寝てるな…。病院行ったのか?…ランチに入っていたメンチカツを食べた。…イカのメンチカツだった。
「珍しいですね。河本主任がランチ。」
「…いつもお弁当なのに…」
「…さては…」
…?…。さては?
「とうとう河本主任に愛想…尽きて…」
…違うし…(汗)
「今日、海さん風邪で休んでるんですよね。」
仁科室長が俺に尋ねた。
「そうなんです。」
「海さんが風邪?珍しいですね。」
「…。」
星野主任?…なんか?不安そうな表情…。
「あの…コロナとかじゃないですよね?」
「陰性でした。」
「…良かった…。」
心配してくれたのか…。仁科室長が俺に尋ねた。
「あれ使ったの?」
「あれって…?」 「抗原検査キット」
「使いました。」
「あれ痛いよな。鼻に綿棒」
「…口に入れてましたよ?」
…??…。仁科室長に?が見えた。
「あ、もしかして唾液タイプですか?」
「唾液タイプ?」
加藤主任が知っていて教えてくれた。
「この前、明里が風邪引いた時に、つ…伊原さんから教えてもらったんですよ。唾液タイプの抗原検査キットがあるって。」
「…そうなのか…」
抗原検査キットに唾液タイプがあるのか…。うみ、よく知ってたな。それになんで持っていたんだろう?…ランチを食べ終えて、コーヒーを飲むことにした。
「ところで…」
コーヒーを入れようとマグカップを手に持ち、ポットが、置いてある流しへ向かう。星野主任が俺に尋ねた。
「河本主任、お粥作れるんですか?」
…(汗)…俺が黙ってるのを見て…仁科室長…
「河本主任には、無理じゃないかな?…また指切ったりしたら、青野主任が心配しすぎてさらに悪化したりして…(汗)」
うみが心配するのは確かに…だけど…俺に作るのは無理って…。酷くないか?
「確かに…」
加藤主任まで…。
「俺だって…作れないし…(汗)」
…仁科室長、マジか…?
「…仁科室長…奥さんが寝込んだら、どうするんですか?」
「牛丼とか弁当とか…なんか買って食べるよ…」
…仁科室長…作る気ない?仁科室長が呟くように言った…。
「俺が、料理を作っても妻の口に合わないようだから…」
……。
「河本主任…お粥の作り方教えます…。」
仁科室長には、誰も何も言わず……
星野主任が、お粥の作り方を俺に教えてくれた。




