花穂
お昼休憩を済ませて、デスクに戻った私。
「…なんか変だな…。」
伊原さんが困っていた。
「どうしました?」
「保存したいんですが…。こうエラーになって、保存出来ないんです。」
「あ、なら新規のファイル作って。」
「…分かりました。」
福山課長と話をした後、伊原さんはPC科へ小包を届けに行ってくれた。
…ふと…あれ?止まってる。デスクに置いてあるミニ時計が止まっていた…。昨日まで動いてたのに…?電池切れかな?…
その頃2階PC科…。
「ありがとうございました。」 「いえ。」
…藤さんの講義が終わった。テーブルの下から鞄を取ろうとした時だった。バチン!!凄い音が聞こえた。
「いた!!」
慌てて手を離した藤さん。
「…今の音は?」 「…静電気です。」
静電気…。
「テーブルのスチールの部分を触ってしまったので…。」
「大丈夫ですか?」 「はい…。あの…。」
「どうしました?」
藤さんが俺を見た。そして
「あそこのパソコン、どうしたんですか?」
「…あ、あれは今朝起動しなくなってしまって…。なので修理依頼してる所です。」
あの起動しなくなったパソコンを見た藤さん。
「…なんで…。」
「はい?」
…藤さんは鞄を持つと、俺にこう話してくれた。
「…あ、いえ、なんでもないです。失礼します。」
何か…なんだろうな?…と…。伊原さんが小包を持ってきてくれた。加藤主任が伊原さんから小包を受け取っていた…。
「…そうだ!藤さん、どこかで見覚えある方だと思ったら…」
知り合いだったのか?
…講義を済ませて、休憩室で報告書をパソコンで打っていた時に加藤主任に藤さんと知り合いかと尋ねた。すると…
「土曜日に伊原さんが俺と明里、明里が飼ってる猫を連れて、温泉に連れて行ってくれたんです。その時に泊まった宿の方です。」
「…猫連れOKの宿?」
「えと、旅館寒雀って言う…」
「え?!寒雀に行ったの?」
田山さんが驚いて、声を上げた。
「知ってるんですか?田山さん。」
「あそこ予約取れなくて有名な宿なんですよ。ペット連れ可能の旅館。前に旅行サイトで見つけて、見たんですよ。」
「いい宿でしたよ。食事が凄かったですね」
「やっぱり?」 「はい♪…花食べてきました。」
「花?…花穂しその事?」
「花穂?しそ?なんですか?それ?」
「…違うの?」
…花穂しそってなんだろう?退勤前…。藤さんが使ったパソコンを見た。
…大丈夫そうだな。




