抽選
俺のアパートまで送ってくれたつきさん。
「またね。朔夜さん。」
「ありがとうございました。」
つきさんの車がアパートの駐車場を出ていくのを見送った。車の中で、つきさんに聞いた。
「つきさんクーポン券ってなんですか?」
「旅行サイトで抽選やってて、それが当たったんだ。期限があったからね。ただ、忘年会シーズン近いから、どうかとは思ってたけど…。使えたから良かったよ。」
「旅行サイトですか。」
「たまに見るんだ。そういえばさ、朔夜さんあの宿の新人さん、覚えった?」
「…あ、あのレジの?」
「うん。…あの方は、レジ覚えたら、多分だけど、いいかも。接客経験者らしいけど、瞬時に対応していたからね。」
「瞬時に?」
「新人さんって初々しい感じするんだけど…彼女、あまり感じなかったんだ…。あの時、お客さんから、タクシーを呼んで欲しいって頼まれたんいたんだけど、その時の対応が、部屋番号と名前、行先、指定のタクシーがあるかの有無。それを聞いて確認し電話してた。初めての人は、そこまで出来ない。電話は、業務用の電話だから、内線と外線があって、いっぱいボタンがある。彼女、迷わず、フロント内の電話を使って、タクシー会社へ電話してた。」
「…つきさん…すごい(汗)…。なんで分かるんですか?」
すると…
「うちが20代前半~30代にしていた事。」
「つ…つきさんが?!」
ビビって声を上げた!
「そうだよ。…なんでビビってんの?」
「だって…(汗)イメージ…無いから…(汗)」
「……うちにも20代の時あったよ……?」
ムッとなったつきさん。違うつきさん…そうじゃない……。俺がビビってたのは、つきさんがその…スカート姿で仕事しているって事…。あそこの宿のフロントスタッフは、スカート姿だったから…。スカートが苦手なつきさん。なんでって聞いたら…
「…寒いから。」
…だった…。




