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現を抜かした罰

兄貴からの電話を無視して、寝た俺。その”兄貴”から直接、叩き起された。朝、寝ている、俺を揺する感覚と朧げに聞こえる声。

「起きろ!?…雷斗!…起きろよ!」

……あ…?…。…!?あ…兄貴?!!

夜、アパートに帰ってきた俺は、玄関の鍵もかけずに寝ていた。この辺は田舎で、”無施錠”も多い…そんな事は、どうでもいい…!何故、兄貴が?俺のアパートに居るんだ?!…

「…起きたか?!…電話しても、出ないから、母さんから、無理やり、お前のトコのアパートの住所聞いて来たんだ!…沙織ちゃんが…!」

俺はまだ寝起きで、よく理解していなかったが、…なんか、今、”沙織”ちゃんがどうとかって?

「ナニ…?…沙織がどうかしたって?」

そんな俺に、とうとう兄貴がキレた。

「…いい加減、メェ覚ませ!沙織ちゃんが、死にかけてんだ!!」

兄貴の沙織ちゃんが、”死にかけてる”…?

「どうせ酒の飲みすぎだろ? …朝っぱらから、勝手に人のアパートに上がり込ん……!!?…いっ…テッ…!?」

兄貴の右手が、俺の顔を殴った。「…完全に、目、覚めたか!?…沙織ちゃんが自殺をはかったんだ!今、入院している!すぐ…グッ!?…あ…?!」

俺は、兄貴の顎当たりを、殴り返した。

「…目、覚めたよ。テメェが付いてやればイイじゃねーか!?…俺には、もう、関係ないんだ!!…出てけよ!?」ベットから、降りた俺は、また兄貴に殴りかかった…ところが…

「パパ!?だめ!?」

突然、俺の目の前に、衣織が飛び出してきた。俺の手が、衣織に直撃する…。……?!?!

俺は、衣織が何故ここに居るのか、一瞬、分からなかった。だが…小さな身体に、当たった感触だけが、俺の右手に残っているのは、確かだった。俺は、茫然と衣織を、見下ろす事しか、出来ずにいた。兄貴は血相を変えて、衣織を抱きかかえている。大人の…男の力で、殴られた衣織…。

「…何で…衣織が…いるんだ?」

俺は、声が震えていた。兄貴が事情を話す。

「行くってきかないんだ…。パパとママの所に。帰るって。」

どんな形にしても…子どもに手を、挙げた俺。

「…お前が、衣織ちゃんを家に預けてから、しばらくして、学校を休みがちになった。…沙織ちゃん、自殺をはかった。未遂で、事なきを得たが…今は、入院している。衣織ちゃんを連れて、帰る…。医者に連れて行くから。」

衣織を抱きかかえて、アパートを出ていく兄貴。兄貴が出て行った、玄関のドアを閉める音が、俺の耳に響いている。

……”何れ…罰が当たる”…。

あの地(現実)から逃れた、罰か?…それとも…。



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