火種
恐る恐る、彼女の顔を見ると…アレ?…怒って…無い?
「…なんだ…知ってたんだ。じゃ、もう隠さなくても、いっか。そうなの。離婚して、今は、”青野 ”に戻ったの。」 彼女は、普通に話している。逆に根岸さんとまきさんがキレた。
「「はぁ!!?…ナニソレ?!…」」
その剣幕に、俺も豊川君もビビる。
「姉さん、落ちついて…」 「けいちゃん落ちついて…」 英と彼女が2人を止めた。
「落ちついてらんない!!うみちゃん、平澤さんを訴えよ!!」 「英!うみちゃんを弁護してよ!!」
この剣幕に、さすがの英も怯む。
「ちょっと、2人共落ちついて。」 彼女は、怒り狂う、まきさんと根岸さんにこう話した。
「…”そう言う風に”、平澤さんは、平気で人を、からかったり、”言葉で”人を傷付けたり、気に食わない事があると、当たり散らすし…それを注意したら、”被害者面”して、周りを味方につける。それしかデキナイ人なんだなと。思ってる。」
「「じゃぁ尚更……!」」 とまきちゃんと根岸さんは彼女に話した。
「いいの。ほっとけば。……そのうち、”罰”が当たるよ。”平澤”さんにはではなく、”彼女”が大切にしている”者”にね…。」 彼女は”何か”を、知っている様な目で、2人を見た。2人が、落ちついたのを見て、ホッしたのか、彼女は、「”アイツを捨てたのは、私なんだけど”…。」 と呟いた。
「え!そうなんですか?」
豊川君が彼女に、声をかけた。”また…火種を”俺は豊川君を睨んだ。
「そうだよ。…豊川君、”彼女”を”幸せ”にしてあげてね。…”彼女を”傷付けたり、泣かせたりしたら、許さないから。」
そう話して、彼女は、チラリと”根岸”さんを見た。英とまきさんは、ピン!ときたらしいが…俺は、よく分からなかった。色々あったけど、楽しかった。全員で「またやろうよ!!」 と約束をして、俺はアパートへと帰ってきた。アパートの駐車場に車を停めた時だ…。スマホがなった。
「?…誰だ?…こんな時間に?」
スマホを手に取り、画面を見た。「河本 柊斗」
兄貴だった。…俺は、電話を無視した。せっかく楽しんできたのが、ダメになる…。俺は、車から降りて、アパートの部屋へと入る。独りにはちょうどいい広さだ。部屋着に着替えて、歯を磨いた。スマホを取り出し、着信履歴を確認した。何度か、”兄貴”からの電話があった。
「…。今更…何の用だ…。”また”…人の、大切だった人を奪って…。」
ベットにゴロリと横になりながら、俺は、メールを表示した。”彼女”のメールを読み返した。
「…今日も…可愛かった……ツヨい…女性だったんだな。」
それでも…”好きに”は変わりない。
「…今度…メシ誘ったら…」
俺はそのまま、眠った。この”兄貴”からの電話は折り返さないで…。




