映らない?
診察室に入ると、黒い服を着た医者が、座っていた。
「初めまして、川本と申します。どうぞ。」
ネームを見せて、自己紹介をしてくれた医者。漢字違いの同じ名字の医者だった。対面で座る。問診が始まった。パソコンに打ち込む、川本先生。
「…急性気管支炎…。…分かりました。触診させて下さい。服を捲れ…無理かな?」
「手伝いますね。服あげますよ?」 「はい。」
もう1人の看護師さんが、俺の服を捲り…イテテテ…(汗)川本先生が、俺の左のわきあたり…肋骨を触って行く。
「…ここ痛む?」 「痛くないです。」
「ここは?」 「!痛いです。」
「ここ?」 「はい。」
「あ、ごめん。テープ取って。」
看護師の伊藤さんが、テープ?なんか…クリップ?クリップを付けたテープを川本先生に渡す。俺のわき腹にペタリ。そして、もう一度…
「ここは?痛む?」 「痛くないです。」
「ここは?」 「痛くないです。」
「ここは?」 「いた!」 「ここだね。」
またクリップ付きテープをペタリ。触診が終わり…川本先生が、俺にファイルを手渡した。
「レントゲンに行ってきて下さい。マーキングしてますので、そこを撮って貰って下さい。」
「…はい…(汗)」
…診察室を出て、この前のレントゲン室へ向かう。レントゲン室の前で少し待っていた。
「51番さんどうぞ。」
レントゲン室内へ…。
「お名前をお願いします。」 「河本 雷斗です。」
「…アクセサリーとか付けてますか?」
「付けてないです。」
「服に、金属とかも…大丈夫ですかね。」
「はい…。あ、すみません、ここにマーキングがあると…」
「…分かりました。」
…レントゲンを撮る…。この前と違い…痛い…(汗)
レントゲンを取り終わる。整形外科へ戻る…。
ファイルを伊藤さんに渡した。うみとしばらく待っていた。20分後…
「51番さん、整形外科診察室へどうぞ。」
診察室の中へ。川本先生が、パソコンを見ながら…俺に椅子に座るように言った。
「どうぞ座って下さい。」 「はい。」
パソコンで…俺の肋骨のレントゲンを見せながら…
「このレントゲンの写真で見る限り、ヒビなどは見られませんが…間違いなく、骨折はしています。…まあ、心配なら、CT検査も可能です。します?」
マーキングした場所…クリップはしっかりと写っているのに?俺の骨折は、レントゲンに写らない…なのに骨折って…(汗)
「あの…どうして、レントゲンに写らなのに…骨折?だと、分かるんですか?」
「小さなヒビの場合、レントゲンには写らないんですよ。色んな角度から、撮りましたが、写っていないんです。それと、この画像では、表面上は、何とも無いように見えますが…内部の骨が折れている事があります。それは、骨が幾つもの層になっていて、そこの1部にヒビが入った。河本さんの場合は、それなんです。他は…肺に刺さって、穴は開いてません…ね…。」
な…なんか…今、怖いことを言わなかったか…(汗)
淡々と説明を続ける、川本先生…。
「治療法として、バストバンドで固定して、安静にしていれば、そうですね…1ヶ月で治りますよ。念の為、撮ります?CT?」
「…大丈夫です。」
「…分かりました。バストバンド準備して。Mサイズね。」
「分かりました…。」
川本先生が、伊藤さんに指示を出していた。
「それから、鎮痛剤を処方しますから、痛む時は、飲んで下さい。後、湿布とか、アイシング…冷やすのもいいです。湿布処方しますか?」
「かぶれるので…大丈夫です。要らないです。」
「スミルスチックはどうします?」
…なんですか…それ…?…(汗)…分からないから、断った…(汗)
「…お仕事って何をされてます?」
「えっと…パソコン講師です。」
「パソコン講師…ならデスクワークですか?」
「はい。」
「でしたら、出勤されても構いませんよ。重いものは、持たないで下さいね…。後、激しい運動は、控えて下さい…。」
「分かりました…。」
診察を終えると、看護師さんが、俺を別の部屋に案内してくれた。
「お大事に。」
ちゃんと…俺を見て言ってくれた、川本先生…。不思議と…安心感のある先生だった。




