前みたいに
職場内では、つきさんとは呼ばず、伊原さんと呼んでいる。ここでは、上司と元部下の関係。外に出れば、恋人になり、お互い名前で呼ぶ。
「伊原さんは、星野主任の新規受講生の方をお願いします。俺は、河本主任の受講生を担当しますから。」
「分かりました。」
そう仁科室長が、俺たちに指示をを出した。こうして、なんとか、午前中の講義は終わって、午後の講義前の休憩中。伊原さんが…
「今回は、前見たいにならないといいな。」
前…。インフルクラスターの事か?その時は、仁科室長、莅さん、俺、田山さんがインフルエンザに感染し、休んでいた。
「…身体を壊す事って、体力的にも精神的にもキツイからね…。」
お茶を飲む伊原さん。
「つきちゃん、これからどうなると思う?」
仁科室長が、不安気に尋ねた。
「今からコレだからね。毎年、クリスマスの辺りから、2月までは、増える傾向にあるよ。」
「そういえば、そうですよね…。」
「ただ、読めなくなって来ているのは、確かかも。夏でも、なってる方いるしね。それに、感染症って、色々あるからなぁ…。」
「…そうなんですか…。」
「つ、いえ、伊原さん。他にもどんな感染症があるんですか?」
「あり過ぎて言えない。」 「1部でいいです。」
「ウイルス、菌、うちが分かる範囲で言うから。」
「はい。」
「まず今話したコロナ、インフルの他に、SARS、MERSな。後はマイコプラズマ、結核、百日咳。おたふく風邪。こっちは、風邪症状や呼吸疾患系。疥癬、白癬、水疱瘡、は、皮膚系。後は言わない。ってか、言いたくない。」
…サラッと10以上話してる…(汗)
「もっとあるんですか?」 「うん。」
「知りたい。」
すると、伊原さん…。
「…食事終わらせてから、しようか。」
「?なんで?」 「…。」
…なんでかな?皆が食事を終わらせた後で伊原さんに聞いた。
「ノロ、MRSA、ESBL、CD、こっちは、汚物系かな…。」
…だから、食後だったのか。と、
田山さんが尋ねた。
「MRSAってなんですか?」
「メチシリン耐性型黄色ブドウ球菌。」
「黄色ブドウ球菌?あれ?それって、食中毒じゃ?」
「…なんて説明しようかな…。」
…しばらく考えて…伊原さんは…
「食中毒の黄色ブドウ球菌も、同じは同じなんだけど…。今話したメチシリン耐性型黄色ブドウ球菌は、うちらの身体の中にいる、常在菌のブドウ球菌が、薬に対して耐性を持った、菌の事なんだ。」
「…見た目で判るの? それに常在菌って…?」
仁科室長が、伊原さんに尋ねた。
「検査して判る。あと、常在菌はうちらの体にいる菌の事。」
…き…聞いといてなんだけど…伊原さん、なんでそんなに知ってるんだ?




