目立たない
お昼休憩を一緒にした、羽野 みことさん。私と同じくらいの歳の女性…。割と無口な方。村木さんや伊原さんが、目立つからかな?羽野さんは、あまりに静か過ぎて、目立たない…(汗)…休憩は、黒田さん達と入る事が多く、今回は、羽野さんが希望勤務、15時までの時間勤務の為、早めに休憩を取っていた。15時…。羽野さんが退勤する前…福山課長に…
「お先に失礼します…」 ポツリと断って、退勤した。「お疲れ様でした…。」 羽野さんが、業務課を出て入れ違いに、河本主任が、物品を取りに来てくれた。「失礼します…。お疲れ様です。福山課長、…青野主任。」 「お疲れ様です。」「河本主任…お疲れ様です…。」
「黒のボールペンとA4のコピー用紙届いてますか?」
「届いてますよ。」 「良かった。ところで、さっき出て行った方…初めて見る方ですが、新しい方?」 「…?」 「あ、羽野さん?」 福山課長が河本主任に尋ねた…。 「羽野さん?」 河本主任も知らなかった…。と…
「違いますよ。」 突然、聞こえた声…。
「お疲れ様です。近衛部長…。どうしました?」
近衛部長だった…。急にどうしたのかな?
「お疲れ様です。福山課長、青野主任、河本主任。丁度良かった…。その羽野さんの事で…。」
「?何か?」 「羽野さん、明日から、しばらくお休みになります…。」 「…分かりました…」
?近衛部長…?なんか…?…悲痛な面持ち…。福山課長も…落ち込んでる?
「あの…何かあったんですか?」
近衛部長と福山課長に河本主任が尋ねた…。
「ん?いえ…なんでもありません。」
そう、河本主任に近衛部長が伝えた…。
河本主任が、物品を持ってPC科に戻り、近衛部長も戻った…。私もデスクに…
「青野主任…ちょっと…。」 福山課長が私に声をかけた…。休憩室に行き、福山課長と話す…。
「青野主任にだけは話しておきます。…羽野さんなんですが……」
?!福山課長?!…。な…泣いて…?
「…羽野さん…。」
「…え…?」 …ハンカチで、涙を拭いた、福山課長…。私も驚いて、言葉を失った…。…その…5日後の夕方…。訃報が届いた…。
羽野 みことさん…享年40歳…。乳がんだった…。報せを聞いて…業務課の皆が泣いた…。村木さんが…
「…羽野さん…ここでは、1番長い人だったんだ。うみちゃんや私が入職する前から居たの…。
羽野さんだよ?うみちゃんに、お菓子送ろうって提案したの…。」
そんな…。村木さんの話に、涙が止まらなかった…。




